【 映画 】毒戦/ドラッグ・ウォー
STORY
爆発事故に遭ったコカイン製造工場から車で逃亡した後、衝突事故を起こし、病院に担ぎ込まれた香港出身の男・テンミン。
中国公安警察の麻薬捜査官・ジャンは、彼が麻薬取引に大きく関わっていると察し、死刑と引き換えに捜査協力を要請する。
かくして、テンミンはジャン率いる捜査チームとともに、組織の大物相手に架空取引を仕掛けることになる。
だが、その極秘潜入捜査によって、中国全土だけでなく、香港・韓国・日本をも巻き込んだアジア麻薬シンジケートの存在が明らかになる…。
REVIEW
ジョニー・トー監督50作目の作品。2013大阪アジアン映画祭にて鑑賞。
====
冒頭から中国公安の麻薬捜査のキッツイ演出。もうここまでするのかと思うほどの描写。思い出すとメシが喉を通らない。。。
どこまでも麻薬捜査を追いかける捜査官ジャン(スン・ホンレイ)の執着。
死刑を逃れるために公安協力する男・テンミン(ルイス・クー)の飽くなき"生"への執着。
このジャンとテンミンの攻防、それに絡むそれぞれの思惑。ドロドロの演出。
容赦ない描写におぞましさも感じ、これぞ麻薬ビジネスの闇かと恐ろしさが伝わる。
これぞジョニー・トー映画だと改めて感じる。
とにかく捜査官演じた、スン・ホンレイの演技が凄みがある。
麻薬捜査に対する執念の塊のような男で、時に麻薬バイヤーの男に成りすます場面は逸脱。
バイヤーになるため自ら麻薬を吸い、その男の喋り、仕草、すべて成りきる。
そして麻薬を抜くため氷水の風呂に入ったりと、そこまでするんかい!と思うほどの場面。
そしてその場面の緊張感と時々起こる毒を感じる滑稽な笑いがかなり見応えを感じる。
物語事態は麻薬取引を扱った内容、そして大陸での撮影。
なので、いつもの飄々とした雰囲気はちょっと陰を潜めている気もした。
でもジョニー・トーらしい緊張と緩和のバランスは相変わらず。
そして終始えげつない演出がやたら現実感を帯びていて、日本より麻薬に対する容赦のない捜査が窺える。
麻薬取引の犯罪者であるテンミンの生きる事の執着、捜査官であるジャンの捜査への執着。
正反対の立場の人間に共通する執着がここまで物語を面白くさせるのかと。
それと周りの登場人物もよかったな。
麻薬工場の聾唖兄弟とか、テンミンの兄弟分である元締め七人衆とか。
っつか、オマエがボスじゃなかったんかーい!!ってな(笑)
そして、おまえらはチョウ・ユンファ(男たちの挽歌)かーーーー!!!とか
まぁここら辺は劇場でご覧ください。
ただ、ジョニー監督曰く自分が思い描いた内容にはなり得なかったと。
この映画は中国本土で撮ったので規制も制限もあったそうだ。
それでもかなり見応えあるよ。まぁ苦手な人はかなり多いだろうけどね。
そして最後はお決まりの銃撃シーン。いやーーー、容赦ないね、ホント。
全然救いようがないっつーか、本気で日本人が好きなハッピーエンド感 "0"
でも、この容赦なさ、スピード感、執着。
これらがまったく飽きないおもしろさにつながって、最後まで目の離せない展開。
見応えはかなりのもんだと思う。
監督、出演者、演出、内容、すべての"毒"が蔓延する一作。
2014年1月11日より公開(沖縄地区未定)
http://www.alcine-terran.com/drugwar/(公式サイト)
2012製作
監督:ジョニー・トー
出演:スン・ホンレイ、ルイス・クー、ウォレス・チョン、ガオ・ユンシャン、ミシェル・イェ、ロー・ホイパン