HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

【 映画 】ラスト・シャンハイ/大上海

 

STORY

貧しい家庭に生まれ育ち、果物屋で仕事をして生計を立てるチェン。

ある騒動に巻き込まれた彼は、それをきっかけにして上海マフィアのひとつである青幇へと入会することに。

青幇の権力者である黄金栄の妻からの信頼を得て、チェンは次第に上海黒社会で頭角を現す。

しかし、そんな中で初恋の女性と思わぬ再会を果たし、心がかき乱されていく。やがて、時代を戦争が始まり、日本軍が上海へと侵攻。

チェンや青幇のメンバーをはじめ、マフィアたちは日本軍と対峙(たいじ)せざるを得なくなる。

 

 

チョウ・ユンファ主演。激動の上海を舞台にマフィアの半生を描いた作品。

愛国心」とか「中国万歳」みたいな印象も残るけど、かなり面白かった。

 

 監督が王晶(ウォン・ジン)監督って事でちょっとライトな作りを想像していた。

製作はアンドリュー・ラウ、脚本が、ウォン・チン他マンフレッド・ウォンなどスタッフも豪華。

 

第二次上海事変前後を描いた作品は数あって、その点では思いっきりベタなんですけど結構重厚に作られていて展開も面白い。

戦争を背景に描いていて、それでいてノワールって言葉がぴったりなノワール映画。

エンターテインメント性もあって、ドラマ性も高い。

この王晶(ウォン・ジン)監督、やりおる。。。

 

主人公、ダーチーの青年期をホァン・シャオミン、中年期をチョウ・ユンファが演じてる。

青年期を演じたシャオミンの表情が上手い。後のユンファへ映る説得力のある表情に驚く。

なぜだー?骨格も顔立ちも違うのに。

青年期のシャオミンの横顔からカメラが回って中年期のユンファに移る場面とか違和感感じない。

  

内容はスタンダートなのにそれぞれ登場人物のキャラクターがかなり良かった。

 

 久しぶりの呉鎮宇が悪役ーーー!!!っつーのが個人的に大興奮。

やっぱ、この人はクセのある演技が好きだわ-。憎たらしいほど上手い。悪い雰囲気漂わす空気感が凄い。

 

大ボス、ホン役はサモ・ハンだし、日本少佐に倉田保昭だぜー!何、この豪華な顔ぶれw

なんなんだよー、香港映画好きにたまらん顔ぶれは!憤死しそうになるわ。

 

あとダーチーの腹心で用心棒のリン・ホァイ(ガオ・フー)がめちゃくちゃ格好いい!っつか一番惚れた。

「真の悪党」と謳いナイフ一つでのし上がっていく。

義に厚く、時に敵に懐に入ってまでダーチーの為に尽くす。

最後の最後まで格好いいキャラクターで散り様までまさに「漢」。

雨の場面、ダーチーの初恋ジーチウがさらわれそうな時に颯爽と現れてナイフ一つで相手を仕留める所とかかなり印象に残る。

 

それと、嫁のアーバイが泣けんだよなー。

ダーチーがずっと想いを寄せてた初恋のジーチウより、ずっとこの人の方が切ない。

ダーチーがジーチウに想いを寄せてもずっと変わらず彼を想っていて、マオ将軍の所へ行くのもジーチウの為で。

心身供に相手の為に尽くす。だからダーチーは彼女の想いに最後答えるわけだけど。

 

物語はベタなのに登場人物の描き方がかなり良くて惹かれてしまった。

 

贅沢いえば、大ボスホン(サモ・ハン)が後半、廃人のままいなくなってしまう所。

覚醒するのかなーと思いきやそのまま。。。

大ボス、ホンとその妻の存在も良かっただけにそこはちょっと切ない。

 

あと、後半の怒濤の銃撃戦がやっぱ盛り上がる。前半ドラマ部分が強かった分、ここは期待以上だった。

京劇の場面から銃撃戦に移る展開はなかなかに見応えがある。

ノワールもの好きな人は絶対、興奮する。

 

やっぱ、ユンファは歳とってもカッケーーーーー!!!ってなるわw

 

ラスト、日本軍に取り囲まれた車の中で弾丸浴びての終焉なんだけど、もう一人のおデブの腹心と頬をひっぱり合う場面がこれまた良いのだよ。。。

あの瞬間、泣きたくなった。っつか泣いた。

 

んで、エンディングが張学友さまの歌で終わるという最初から最後まで豪華で男気のある映画。良作。

  

2012年製作 

監督:王晶(ウォン・ジン)

出演:チョウ・ユンファ、ホァン・シャオミン、サモ・ハンフランシス・ン、ヨランダ・ユアンユアン・リー、モニカ・モク、ガオ・フー、倉田保昭