盗聴犯 死のインサイダー取引/竊聽風雲
STORY
香港警察情報課の刑事ジョン、ヨン、マックスの3人は、不正株取引の疑いのある企業と、その社長ローを盗聴器やカメラを駆使して監視していた。しかし、それぞれ家庭の事情で金に困っていたヨンとマックスは、捜査過程で入手したインサイダー情報をもとに株に手を出してしまい……。
REVIEW
監督は「インファナル・アフェア」で脚本などを手がけたアラン・マックとフェリックス・チョン。
香港警察商業犯罪化の3人、ジョン(ラウ・チンワン)、ヨウ(ルイス・クー)、マックス(ダニエル・ウー)は株の不正取引など調べている。
それぞれ個人的に事情を抱えていて、ヨウは子だくさんの上に、病弱な子供を抱えていた。
その子供の検査のために訪れた病院で自分が末期がんであることを知り、仕事で得た情報で株を買い家族に金を残そうとする。
マックスは富豪の娘との結婚が決まり、その格差に悩み、ヨウの犯罪の手助けをする。それを知ったジョンは2人を止めようとするが、なし崩し的に協力することになる。
いやーーー!めちゃくちゃ面白かった。
救い用のない悲劇が3人を襲って、モヤモヤする結末だったけど物語の展開は目を離せない。
3人が商業犯罪化という部署ということもあって、盗聴や映像の細工はお手の物で。
だからと言って、そう簡単の事が上手く行くはずもなく、
たった一度の道を踏み外したことで、状況は暗転していく様を見せつけられた。
脚本が丁寧に描かれてたし、主人公ジョン演じたラウ・チンワンの演技の安定感がよい。
んで、基本警官でヨウとマックスが株に手を出そうとした時も止めようとする人だけど、隠蔽をするなら最後まで徹底しようとするとことか、妙に頭の切れる男を演じてた。そんなジョンもプライベートでは親友の妻とデキてしまって、しかもその親友の悩みを聞きながら苦悩しているのかしてないのかわからんような男なんですわ。
そのジョンが親友の妻の家に盗聴器を仕掛けざる得ない状況(そのことは親友の妻も知ってる)でプロポーズする場面が妙によい。いや、その前にその親友に言いだしにくい気持ちはわからんでもないが早く親友に言った方が良くね?とか思うんだけど。
そしてヨウが泣けるっつか、家族の為に財産を残そうと手を染めて結局はそれが悲劇を生む。
もうこの辺は本当に救いようがなくて、かなり凹む。
そのヨウを演じたルイスだけど、太った?と思ったらこの役のために13kg太ったんだと。中年の子沢山演じるには確かに普段の男前っぷりは邪魔になるかもー。
だからこのヨウを演じてる時は白髪だし、ちょっと普段よりふっくらで不健康そうなオッサンを演じてるんだけど、元が男前だからか、私がオッサン好きだからか、普段のルイスよりこっちの方が個人的に素敵にみえた。
ズボンおろした、パンツ姿で「俺のことはどうでもいいのかー」って妻にドア越しに言ってるヨウの後ろ姿にちょっと哀愁も感じたけどね。。。
ダニエル・ウーが演じたマックスが先の二人のキャラクターに押され気味だったのがちょっと勿体無い。
でも3人のキャラクターが把握しやすいのは良かった。
そういうとこちゃんと描いている。
んで、この映画の悪役大ボスキャラがマイケル・ウォン、久しぶりにみますた。
建前は慈善事業とかも手がけてる悪ボス、悪の典型ですね。
で、物語は転落を描いているんだけど、終盤頃にドンデン返しもあって、そこが少し救いとなる。だけど、最後のヨウの表情がまた虚しく映る。
飽きのない展開。でも容赦ない残酷さ、それでも観入ってしまう。
。。。にしても、株って怖ぇぇぇ!っつか、金が絡むと人の心は弱いものだと実感してまう、そんな現実をまざまざと見せられた。
2009年 香港製作