HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

マスター・オブ・リアル・カンフー 大地無限/太極張三豊

STORY

明朝時代、少林寺で共に学ぶ二人の兄弟弟子がいた。戦乱の渦に巻き込まれる中、野心家の弟弟子は軍隊に入りその頭角を現していき、温厚な兄弟子・君寶(リー・リンチェイ)は市井の人々と共に権力に立ち向かう。そして、出世のために裏切り行為を行う弟弟子・天寶に、兄弟子は決闘を挑むが……。

REVIEW

太極拳創始者の張三豊を描いた物語。

あっ、ちなみに「カンフー・カルト・マスター魔教教主」でサモ・ハン演じたサンフォン老師がこの映画の主人公、君賓の未来の姿です。

それにしても、太極拳って美しいんですねぇ・・・「柔をもって剛を制す」って言葉を思い出します。柔らかで曲線的な動きが美しいといいましょうか。

リンチェイ作品で一番面白いと感じるのは、やはり彼自身の美しいアクション。

この作品はそれが突如に表されていて、かなり楽しめます。っていうか「ワンチャイ」や「少林寺」よりもアクションに関して言えば凄いような気がする。

物語は少林寺で学び幼い頃から兄弟の仲を誓う程の兄弟子、弟弟子があることをキッカケに少林寺を出ることになり俗世で生きることになるが外の現状で過ごす二人は違う道を歩んで行き、そして二人は敵同士になってしまう。

それがアクションのみならずテンポのいい展開と面白さを感じてしまう。

まぁ細かい所を言えば少林寺での日々があっさりと描き過ぎかなぁとか感じてしまうわけだけど、それでも幼い時に出会った二人の正反対の個性がきちんと描かれていたし、物語が展開するにつれ少年時代、共に過ごし仲良く修行をしていた二人の姿に切なさも感じる。

なので、物語部分もなかなか良く出来た作品に感じますた。

監督ユエン・ウーピンらしいアクション見所満載で、最初から最後までカンフーものが好きな人には大興奮出来ると思う。

わし自身、何度「スゲー!スゲーよ、オイッ!!」と画面に向かって言った事か・・・

少林寺でのシーンで二人が箒で修行している所の動きなんて惚れ惚れするし、それをこれまた頭上から映し出すカメラワークが面白さを倍増。

また、食事をしながら足技でお互い牽制しあう所、少林寺の他の僧達との激闘シーン、最初の30分くらいなのにてんこ盛りのアクションが堪能できますた。

俗世間に出てからもアクションの面白さを発揮。

食堂での乱闘も見せ場が多い。もちろん、リンチェイ及び他の出演者のアクションも素晴らしい。

ミシェール・ヨー姐さんVS宦官の妹の食堂での喧嘩もかなり凄かったりする。

っていうか出ている役者達がかなりアクションの出来る方々なんで、それだけ菅らしいカンフー映画が出来るんですが、やっぱりカメラワークがかなり凝っているんだよねぇ。

その働き甲斐あってか出演者のアクションの動きが普段感じる何倍も面白くて映画の世界に入り込みやすかったです。

弟弟子・天寶が裏切ってから物語は暗い方向へ行くかと思いきや、意外にコミカルな展開に。そのおかげか映画全体がさほど重い雰囲気にならなかったってのが良かったです。

ん、でも弟弟子・天寶があんな急激に悪い奴になるってのに物凄く温度差を感じてしまうのも否めない。好きな女にも冒頭は初心な感じだったのに、あそこまで出世の為に悪くなってしまうのが何だか怖いって感情より悲しくなってしまうんだよね。

あと色々な表情のリンチェイが拝めるのも見所。

中盤あることがキッカケで君寶は頭がおかしくなってしまうんですね。今まで続いていた展開から一段落着いてそこは、ちょっとコミカルなリンチェイの演技が見られます。

もうミシェール・ヨー姐さん、てんやわんやですた。

その場面で君寶は太極拳を編み出すんですが、そこでも映像が面白く演出されている。

そしてクライマックスは息つく暇のないほど、小道具、ワイヤー、素手とフルに見せ場のあるアクションが炸裂。全ての力を出しきったくらいの素晴らしいカンフー映画を堪能できますた。

ユエン・ウーピンに関して言えば、「マトリックス」より遥かに凄いと言えます。

1993年/香港

監督:袁和平(ユエン・ウーピン

出演:李杰連(リー・リンチェイ)/楊紫瓊(ミシェール・ヨー)/銭小豪(チン・シウホウ)/袁祥仁(ユエン・チュンヤン)/劉洵(ラウ・シュン)/フェニー・ユン/孫建魁(ツァン・チエン・フウ)