スウォーズマン 女神伝説の章/笑傲江湖Ⅱ 東方不敗
STORY
中国は明の戦乱の世、豊臣秀吉の迫害を逃れた信長勢の残党が日月教を信仰する苗族と結託。しかし、苗族に内乱が生じ、それに乗じ、魔人=東方不敗が彼らを支配する。一方、乱世に嫌気がさした剣の達人リン(リー・リンチェイ)は妹弟子の鳥鴉嘴(M・リー)を連れ、日月教本部を訪れるが、既に教祖は投獄され、娘のインイン(R・クワン)らが恐怖におののいていた。東方不敗が狙うは“葵花宝典”。世界征服を可能とする秘術が記されている……。
REVIEW
「スウォーズマン 剣士列伝」の続編。
っと、言っても出演陣は前作と違い、主人公リン/令弧仲もサミュエル・ホイからリンチェイに変わっています。
そして前作はまだ原作「笑傲江湖」に近い感じで描かれていたのに対し、この作品はもう原型を留めてないくらい荒唐無稽な物語となっております。
キャストは違えど、前作の物語から何とな?く繋がっている感じです。
ハチャメチャな物語ですが、テンポのよい展開と、アクションの面白さは見ごたえアリ。
で、一応この作品の主人公はリンチェイ演じたリンなのですが、新たに現れるキャラクター東方不敗(ブリジット・リン)の描き方が非常によく出来ております。
それこそ、主人公のリンを喰っちゃいそうな、強烈なキャラクターですた。
これは映画のタイトル通り、東方不敗が主人公って言っていいでしょう。
物語は前作にも出てくる秘伝の書「葵花寶典」をめぐる話。
東方不敗は元々男性ですが、この「葵花寶典」を手にして最強になるわけだけど、その副作用みたいなもんで、女性化していくわけです。
その東方不敗を演じたブリジット・リンが凄く妖しげな雰囲気を醸し出して、妙に色気を感じますた。湖から登場するシーンなんて絶品です。
で、偶然リンと東方不敗は出会うわけです。その時はまだ東方不敗は男だったわけですが、東方不敗は見た目が女なんで、リンは女性と勘違いしてしまうワケです。
最初は酒を酌み交わす友達みたいな関係になるんだけど、東方不敗の方は女性化していくと共に日に日にリンの事を好きになってしまうわけなんですよねぇ。
そういう背景が女性好みの展開でドラマがありますた。
基本的に女性キャラクターは皆、際立ってよかったですねぇ。
ミッシェル・リーが演じた妹弟子の鳥鴉嘴も日月教教主の娘ヤン・インインを演じたロザムンド・クワンといい、女性の描き方が際立って良かったです。
ちなみに前作では妹弟子の鳥鴉嘴を葉童(イップ・トン)、ヤン・インインを張敏(チョン・マン)が演じてます。
全体的に口があんぐりとなりそうな物語ですが、楽しめる作品です。
ツッコミ所も多いですし。なぜに「服部半蔵」や「猿飛佐助」が・・・とも思いますし、日本語吹き替えの所は聞き取りにくくて、何言ってるかわかりづらいのがネックではあります。
まぁ問題は主人公リンがモテルのはいいんですけど、気が多いといいましょうか、罪な男なんですよ。
教主の娘インインと結ばれない事を悟った彼は東方不敗の元にいくわけなんですが、勘違いとはいえ東方不敗の恋人を抱いてしまうわけです。
っつーか、アンタさっき女と別れたばっかだろー!!とちょっとツッコミたくなる。
そのおかげでクライマックスの東方不敗との激闘シーンは東方不敗、インイン、鳥鴉嘴を挟んだ痴話喧嘩のようですた。
ん?、でもわしの勝手な思い込みで悪いんだけど、リンチェイって人は凄く清廉潔白な役柄をイメージしてしまうので、この主人公リンの酒好きで女好きってキャラクターがリンチェイにはどうも似合わない。
前作でリンを演じたサミュエル・ホイの方が似合っていたし、リンってキャラクターが格好よく描かれている気がするんだよねぇ・・・
どちらかというと、前作の「剣士列伝」の方がちょっと切なさも感じて好きですが、この作品の方が見応えがあるように感じます。
トンデモ感満載の面白さ、テンポのいい展開と、香港映画ならではの良さを感じる事ができますた。
1992年/香港
監督:程小東(チン・シウトン)
製作:徐克(ツイ・ハーク)
出演:李連杰(リー・リンチェイ)/林青霞(ブリジット・リン)/關之琳(ロザムンド・クワン)/李嘉欣(ミシェール・リー)/任世官(ヤン・サイクーン)/劉洵(ラウ・シュン)