HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

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愛・作戦

STORY

看護士の家鋭(イーソン・チャン)と恋人の靖儂(ニキ・チャウ)は、2人で旅行資金貯めた日本への旅行を前に車を盗まれたことからケンカになる。日頃の不満が口を衝いて出た靖儂は、家鋭に別れると宣言。家鋭は彼女と別れ一人帰る途中で、盗まれた自分の車を発見する。しかし、車を盗んだ華頭(王志文:ワン・チーウェン)に逆に捉えられた家鋭は、彼らのアジトへと連れ去られる…。

REVIEW

スカパーのMATVでイーソン・チャン主演の「愛・作戦」を観ますた。

監督は「ドッグ・バイト・ドッグ」のソイ・チェン監督。この監督は「ドッグ・バイト・ドッグ」といい、この作品といい、人の難しい微妙な感情を描くのが上手いですね。

倦怠期のカップルが旅行へ向かう途中、車が盗難に遭い、それがきっかけで家鋭(イーソン)とその彼女、靖儂は喧嘩別れしてしまう。偶然、自分の車が路上にあったのを見つけて、トランクを開けたら傷を負った麻薬密売の男が潜んでいて、その男の仲間たちに家鋭は捕らえられてしまう。

開始15分くらいまで、倦怠期のカップルの姿を描いていたんで緩い恋愛映画と思ったら、その後イーソンが犯罪に巻き込まれたあたりから物語は怒濤の展開を見せ始めます。

それにしてもイーソンのシリアスな演技って観た事がなかったんですが、このお方器用な人ですねぇ。見ているこっちまで映画の世界にいるような気になりますた。

イーソン演じる家鋭は救急外来の外科医って役なんですが、とりわけ変わった役ではなく、いわゆるお人よしで普通の人を演じています。そんな一般人のが犯罪に巻き込まれるというのが、この作品の面白さに繋がりました。

そして、家鋭と靖儂が倦怠期で喧嘩も多くなっているときに犯罪にまきこまれてしまう。倦怠期って設定がよかったと思う。それで、お互いが大切な存在でと言う事に気づくんですねぇ・・・

でも気がついた時にはお互い離れ離れで、アシンは彼女を事件に巻き込みたくないし、彼女はアシンを助けようと必死になる。

犯罪一味は一般人も巻き込むほど人を殺しまくる。でも兄弟同然に育った仲間は必死に助けようとする。理不尽でやりきれないけど、仲間を助けようとする必死な姿は彼らも人の感情を持っているという証拠だ。非情で冷酷な彼らだが、それだけではない物悲しさを感じる。

祖国で生きるか死ぬか明日もわからない現状で生きてきた彼らにはもう金でしか幸せになれないと信じている。普通の生き方ができない悲しい現実が上手く描かれていた。それと同時に大陸の側面も感じる。

アシンの恋人、犯罪者一味の妻、女たちの描き方もよかった。時々両方の女にどちらの感情にも似たような感覚に陥る。どちらも必死で自分の大切な夫、恋人を守るために必死な姿に切ないとも悲しいとも少し違う何とも言えない感情が湧く。

最後はもう切ない。理不尽な運命もどうする事もできない現実もズシンと重くのしかかる。

初めて出会った桟橋、二人で食べたカップラーメン、喧嘩別れした思い出。

命の重さとか、かけがえのないもの、日常で過ごした日々がいかに大事だったことかと思わずにはいられない。

監督:鄭保瑞(チェン・ポウソイ)

出演:陳奕迅(イーソン・チャン)/周麗淇(ニキ・チョウ)/王志文(ワン・チーウェン)/秦海[王路](チン・ハイルー)/黄浩然(レイモンド・ウォン)/呉嘉龍(カール・ン)