HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

女帝 エンペラー/夜宴 The Banquet


STORY
皇帝である夫を殺された、若く美しい皇后(チャン・ツィイー)。実の兄を殺し王位を手に入れた新帝(グォ・ヨウ)。皇后が密かに想いを寄せる、歳の変わらない義理の息子である王子(ダニエル・ウー)。新帝が皇帝だけでなく王子の命をも狙っていることを知ったとき、愛する男を守る為、女はすべてを奪った男に仕える。

REVEIW
フォン・シャオガン監督、キャストにチャン・ツィー、ダニエル・ウー、グォ・ヨウ、ジョウ・シュン、ホァン・ショオミンと豪華な顔ぶれ。
物語はシェイクスピアの「ハムレット」を題材に愛憎劇が繰り広げられてます。

歴史モノの時代劇というのは、絢爛豪華な舞台、それに相反するようなドロドロした愛憎劇が現代で生きる一般人のわしらには味わえない要素があって面白さを感じる所がある。

この作品は確かに、スタッフ・キャスト共に充実していて、アクション指導にユエン・ウーピン率いるスタッフも加わって背景も絢爛豪華な作品ではあるが肝心の物語部分が少し弱い気がしますた。
う?ん、愛憎渦巻く登場人物を描くなら、何故そこまでに至ったのかを説明して欲しかったのが本音ではあります。

まず、その皇后ワンとダニエル・ウー演じる王子との過去も説明が上手くできてない気がする。歌で表現する部分はあるんだけどね・・・せめて歌で表現するなら、もっと深く掘り下げて欲しかったなぁ。
だからか、お互いの想いの深さを感じる事ができない。

あと、チャン・ツィー演じる主人公、皇后ワンの葛藤や心理描写がよく読めない。
皇后ワンが愛する男の為、復讐の為に新帝に嫁ぐのは物語の流れでわかるんだけど、そこまでに至る過程が説明不足で物語に入り込む空気が作られてないんだよねぇ・・・

テンポもゆったりと展開するので、途中眠くなりかけてしまいますた。
ただ、チャン・ツィーの女帝っぷりというか、どこまでも気の強い役柄は堪能できる。でも、迫力は感じられないのよね・・・

あと、ユエン班お得意のワイヤーアクションも、どうも内容としっくりこない。
イヤ、ユエン班が悪いわけじゃない。でも、ワイヤーを使った演出ばかりをみせているような気がしてならない。というか、内容と大仕掛けの演出のバランスの悪さが目立ってしまうんだよなぁ・・・。

登場人物もひとり一人の個性を生かして、もっと突っ込んだ人間ドラマを描いていたら面白かっただろうに・・・と残念ではある。

ただ、一番の毒は人の心。という台詞は納得。
その表現はストレートに心の中に入っていきますた。結局は毒にも薬にもなるのは、人の心ひとつなのかも知れない。


映画としては結局、何が言いたいのか解らない作品ではありますた。
ただ、豪華な出演陣、流れの美しいワイヤーアクション、絢爛豪華な背景は見る価値があると思う。



でも、なんだかんだで文句をいいながらも黄暁明が格好よかったので許す。(←なんじゃ、それ!)

2006年/中国
監督:馮小剛(フォン・シャオガン)
出演:章子怡チャン・ツィイー)/呉彦祖ダニエル・ウー)/周迅(ジョウ・シュン)/葛優(グォ・ヨウ)/黄暁明(ホアン・シャオミン)