HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

人間色相

STORY

モテないタクシー運転手のマンチャン(ウォン・ジーワー)は、マン(リズ・コン)という美女を毎日送迎し、人生で最高に幸せな日々を送っていた。ところが離れて暮らしていた彼女の夫(チョン・ダッミン)が香港にやって来ることになり、マンチャンの片思いは終わりを告げる。おまけに珍しく女の子に誘われたのが原因で、不能になってしまったのだ。治療を始めたマンチャンは、バーの女店主ビリー(エイダ・チョイ)や婦人警官のロン(ポーリン・スン)とも知り合う。そしてビリーとマンの間にある関係に気づいてしまう。

REVIEW

それにしても、ウォン・ジーワー良いわー。結構好きな俳優さんだったけど、この作品観てもっと好きになっちゃったよ。なんだろ?あの雰囲気がいいなぁ。飄々としているような、ふわりとした空気があって何だかハートをガッチリ掴まれたわい。

物語はちょっぴりHなラブコメですた。不能になった主人公、それを取り巻く様に人妻、その人妻の夫も芸術家で変わり者、人妻と関係をもつレズビアンの店主と出てくるキャラクターは皆、個性的。

一見、性的な表現が多くてただのお馬鹿な内容にも映る、だけど、皆どこかで自分のアイデンティティを求めて生きていているような描きかたで、対人間の関わりを上手く描いていたように感じる。

ブコメっていうよりも、人間ドラマだなぁと感じますた。

それぞれのキャラクターを演じた俳優陣がよかったなぁ。

主人公のマンチャン役にウォン・ジーワー、芸術家の夫にチョン・ダッミン、レズビアンの店主にエイダ・チョイとなかなか組み合わせがいい。

あと、人妻を演じたリズ・コンも婦警を演じたポーリン・スンもイイ味出している。

ダッミンはホント芸達者で一風変わった役どころを難なくこなしていたし、エイダ・チョイに男でも女でもない中間のセクシャリティを感じたし、ウォン・ジーワーに至っては不器用で優しい男を遺憾なく発揮している。

とにかく人物描写がいい、全員が魅力に溢れている。皆、一見変わり者だったけど、不器用で自分に正直で優しい。そういうキャラクターを上手く出せていたんじゃないかなぁと感じる。

主人公のマンチャンは不能になったことで、自分を冷静に見つめていくんだけど、このマンチャンという人物がイイ味を出している。基本優しい男で不器用なんだよね。そんな男が周りに振り回されながらも、何だかんだで周りを暖かく見守っている所がよかった。

レズビアンの店主も人妻も芸術家も男とか女とかじゃなく、好きな人を想う切なさとか純粋さも狡さも持っていて、そこが愛おしく描かれている。

確かに色んな意味でセクシャルな雰囲気だし、それが題材になっているんだけどそれが不思議と卑猥に感じないんだよね。

たぶん性的な描写とかは題材の一つにしか過ぎないのであって、もっと人間の素直な部分とか描いていたから、凄く好印象だったと思う。

物語は大きな波があるわけでもなく、オチもあっさりとしている。

でも、ちょっぴり可笑しくてほんのりと切ない。余韻を残してくれて見終わったあと心地よさの残る映画ですた。秀作です、ハイ。

1996年/香港

監督・脚本:張志成(チェン・チーシン)

出演:黄子華(ウォン・ジーワー)/張達明(チョン・ダッミン)/蔡少芬(エイダ・チョイ)/孫佳君(ポーリン・スン)/江希文(リズ・コン)/谷徳昭(ビンセント・コク)