HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

鐵三角 TRIANGLE

STORY

金のことがいつも悩みの種である、飲み仲間サム、フェイ、モク。ある嵐の晩、3人の前に不思議な老人が現れ、厳重に警備された政府のビルの下に古代の秘宝が埋められていると告げる。老人の話を信じ込んだ3人は一か八かをかけてビルに忍び込むが、そこから出てきたのは古代の棺に入った黄金の礼服。数百万ドルは下らないその秘宝を目にして、さっそく欲に目がくらんだ3人。だが、その秘宝を狙っているのは3人だけではなかった。サムの妻・リンは密かに、秘宝を盗んで愛人との逃亡を計画していたのだ。中国本土のギャングたちも同じ宝物を狙うなか、3人の男たちは富への欲望と友情のはざまで決断を迫られる…。

REVIEW

香港映画祭オープニングに相応しい作品ですた。

ツイ・ハークリンゴ・ラムジョニー・トーの3監督が三分の一ずつを担当し、リレー方式で製作。

セレモニーで、ツイ・ハークは「リンゴ・ラムとジョニーに課題をいっぱい残した」と語り、リンゴ・ラムは「大変ではなかった、前で物語の人物像ができていたし、好きなようにやった」と語り、ジョニー・トーは「物語も人物も出揃っていたので、結論を勝手に考えた」と語ってました。

そんなことを言っても、素人のわしには一体どんな映画になるんだ?と想像がつかない。だけど、期待に胸が膨らみますた。そして、期待以上の面白さですた。

ちなみに「鐵三角」強い絆、3人なくてはならない存在という意味だそう。

主人公達3人の仲間という構図に、そしてその仲間、中国本土のヤクザ、そして悪徳警官のラム・カートンとサムの妻リン、三つ巴の構図。

そして製作した3監督としての「TRIANGLE」。個人的にはその意味も含めて英題の「TRIANGLE」という言葉がピッタリな印象ですた。

冒頭から、どんな展開が待ち受けているのか?と期待が膨らむ。そして、先の読めない展開に気持ちが高潮しますた。

シリアスに、時にはハラハラする場面に物語は大きく膨らみ、時に入る笑いに凄く遊び心を感じますた。その笑いはシニカルでちょっとブラックユーモアが効いていて、とにかく目が離せない。ひとつひとつが印象深かったです。

物語が始まるまでは、3人の監督のリレー方式ということで、場面が解りやすく切り替わって展開していくのかな?という想像をしていましたが、一つの物語を流れるように進む感じですた。だから何時どの場面で監督が切り替わったのかは、なかなか気づきにくい。たぶん、あの場面でバトンタッチしたのかな?ってくらいの印象だったけど、いつの間にか気がつくとテンポや3監督のそれぞれの特色が伺える。そこもこの映画の面白さだった。

物語もクライマックスに行くにつれ、緊張も笑いも渾然一体となってピークを迎える。もう、最初から最後まで目が離せない面白さがありました。

そして、素晴らしい監督と出演者、脚本と純粋に映画として、楽しめる面白さがある。

出演陣もひとり一人が印象的で、誰一人として欠かすことのできないキャラクターを演じている。全員が狂気を秘めていて、どこかで爆発しそうなそんな印象、それでいて人間らしい愛すべきキャラクターですた。

サム(サイモン・ヤム)の時折見せる怖さ、フェイ(ルイス・クー)の軽率な所、悪徳刑事(ラム・カートン)のしつこさ、リン(ケリー・リン)の女の狡さ、みんな負の部分を描いていて、時には酷いなぁなんて感じてしまうのに、どこか憎めない。

そして、最後のあのオチ。あの着地点が凄く好きだったなぁ。

全体的に場面の暗い世界観で、人間の欲望や狡さも格好悪いところも狂気もすべて映しだしているのに、そこが何故か笑ってしまう。そして最後は変に清々しさが残りました。

個人的には、今回の香港映画祭で観た作品のなかで一番好きな映画ですた。というより、映画としてかなり面白いと感じますた。

もう、監督お三方の特色と世界観、そして遊び心がたくさん詰まったような作品。

監督お三方にもう一度拍手を送りたい。

監督:ツイ・ハーク(徐克) リンゴ・ラム(林嶺東) ジョニー・トー

出演:任達華(サイモン・ヤム)/古天樂(ルイス・クー)/林熙蕾(ケリー・リン)/林家棟(ラム・カートン