HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

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愛さずにいられない/做頭

STORY

上海の往年の美女エニー(ロザムンド・クワン)は、若かりし頃は男性遍歴も華やかで皆の羨望を集めていたが、今では気の弱い夫とわがままな娘と慎ましく質素な生活を送っている。かつてカットモデルを務めて一世を風靡した美容院に頻繁に通っては、失われゆく華やかな自分を引きとめ、なんとかプライドを保っているエニー。昔の自分が忘れられない彼女は、そこで出会った若い美容師・阿華(ウォレス・フォ)との禁断の愛に溺れて行くが…。

REVIEW

まぁ簡単に言えば不倫モノ。って簡単に言いすぎ?

中年にさしかかった人妻が歳を重ねていく不安とか、女同士の牽制しあう姿とか微妙な女心が描かれていますた。

それにしても演じたのがロザムンド・クワンだったからいいようなものの、普通の面構えであんなキャラだったら、わしならど突き回すね(笑)

でも、きっとロザムンド・クワン演じる愛[女尼]はもう一度、女として輝きたかったのでしょうね。そして、自分が女だって意識できる唯一の存在が阿華という若くて美しい美容師だったんだろう。

わしも女だし、もう若いってだけでチヤホヤされる年齢でもなくなったから、若い頃より今の方が女でありたいって気持ちは強いし、歳を重ねていく怖さも気づき始めている。だから、愛[女尼]という女の気持ちが解らないわけではない。

でも、やっぱり平凡だけど家庭的で優しいダンナがいて、生意気盛りの可愛い娘を置いて恋に走っていく愛[女尼]に共感は出来ないんだよねぇ。まぁそれは愛[女尼]というキャラクターのせいかも知れないけど。何だか「こんなはずじゃなかった」って雰囲気がもう漂っていてそれが好きになれなかったわい。

結局、愛[女尼]と阿華は別々の道を歩んでいくわけだけど、愛[女尼]にとって阿華という存在は一歩踏み出す為の存在だったんだろうね。だけど、鎮宇演じるダンナの「後悔だけはするな」って言葉の方が、ラストの愛[女尼]の生き方に影響を及ぼしたような気がする。

それにしても女同士の嫉妬とかって、第三者的に見ると滑稽だけど気持ちが解らないわけでは無いんだよねぇ。やたら愛[女尼]と張り合う、うるさいお姉さんのダイレクトな攻撃より、成功した親友と愛[女尼]の関係が何だか怖かったよ。

でも女同士って多かれ少なかれ、ああいう嫉妬心や優越感って持ってるんだろうなぁなんて思ってしまう。

愛[女尼]ってキャラクターは好きになれなかったけど、揺れ動く感情は上手く描かれていると思う。ラストで街を闊歩する愛[女尼]の姿はドロドロしたものが消え去ってこれからを感じる。阿華に恋をしていたときより、清々しかった。何だかんだで女って強いよ。

まぁわしなら、あんな優しい旦那がいたら平凡で退屈かも知れないけどダンナを大事にしたいけどね。

2005/中国

監督総指揮:關錦鵬(スタンリー・クワン

監督:ジャン・チョン

出演:關之琳(ロザムンド・クワン)/霍建華(ウォレス・フォ)/呉鎮宇フランシス・ン