HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

ヴェンジェンス/報仇

STORY

謀略にはまり、京劇の舞台上で非業の死を遂げた兄ユイロウ(ティ・ロン)。そんな兄の仇を討つために、弟シャオロウ(デヴィッド・チャン)が小さな街へやって来た。復讐に生きる彼は機械のように感情を押し殺したまま、壮絶な復讐劇を展開していく……。

REVIEW

まいったなぁ・・・。もうデヴィッド・チャンが格好よすぎ!!あてくし、ちょっと王子様のような彼にメロメロですた。

わしが2,30年早く生まれていたら、きっと熱狂的なファンになっていたと思う。それくらい、ど真ん中ですた。

物語はティ・ロン演じる京劇役者の兄が策略によって殺され、弟演じるデヴィッド・チャンが仇を討つという物語。

ごくシンプルな内容でしたが、ドラマチックでまったく飽きさせない展開なので見応えありますた。

ティ・ロン演じる兄ユイロウが妻にちょっかい出す武術家の道場やぶりをしたもんだから、事件が発展。そりゃ役者ふぜいにやられたとなると面子は丸つぶれだわな。それで、兄ユイロウは殺されてしまうんですねぇ。

ユイロウ嫁は嫁で、ユイロウってキャラには似合わないアバズレ嫁でまぁ、これじゃあユイロウは浮かばれないなぁなんて思ってしまったり・・・

張徹監督は男の世界観を描くのも上手いけど、女の負の感情とかずるさを描くのも上手い人だと思いますた。あと、映画自体の雰囲気というか世界観がいい。

またユイロウ(ティ・ロン)の殺されてしまう場面の演出が好きですた。

京劇の場面とシンクロさせて表現に厚みを感じる。無残に殺されるシーンで痛々しいですが、それと同時に美しさも伴うような場面に感動しますた。

弟シャオロウを演じたデヴィット・チャンがねぇ。もうわし的にはかなりど真ん中でよりいっそう楽しめますた。たぶん表情が凄くよかったんだろうなぁ。

仇をうつために非情になっている表情と好きな女に向ける笑顔、そのギャップにノックアウトですた。

ティ・ロンもデヴィッド・チャンも今風の若者のように線が細く華奢ですが、ちゃんと男の色気があるんだよねぇ。しかもやっぱりスターなんだなぁって雰囲気が漂っていますた。今ではすっかりオッサンで、特にデヴィット・チャンなんて昔の美しさはないですが・・・

あっでもオッサン好きのわしにとっては二人とも今でも素敵だと思いますよ。一応誤解のないように。

内容も見所が結構あるんだよねぇ、これが。

一人、またひとりと仇を討つたびに話が盛り上がってくるような展開。

ストーリー自体や展開は、今観ると確かにスタンダートだと思う。先は読めてしまうんだけど、演出やカメラの動きとか、そこでこの映画の世界観にグッと引き込まれる感覚。あと、音楽と効果音がとにかく上手いなぁって思った。

例えば、仇の一人であるフォンを殺すため旅館に侵入するシーンは特に印象的。展開が読めるのに、その効果音のおかげでドキドキしたりできて、とにかく音の使い方が上手い。

クライマックスも盛り上がって、見応え十分。

そして、全てを悟った恋人の表情とかちらっと映る京劇の場面とか情緒的な所もよかった。

ストーリーも今の時代からすると古いかも知れない、CGもワイヤーもない。

だけど、イヤ、だからこそ身体を張った動きに感動するし、またそこに派手さはないけど、カメラの動きで見せる上手さや演出の味わいがありますた。

シンプルでスタンダートの良さを実感できる映画ですた。わし個人としては凄くお気に入り作品です。

※ここでは、姜大衛の名前を改名後のジョン・チャンではなく、改名前のデヴィッド・チャンで表現しました。その時代の映画なので・・・

1970年/香港

監督:張徹(チャン・チェ

出演:姜大衛(デヴィッド・チャン) / 狄龍(ティ・ロン) / 汪萍(ワン・ピン) / 谷峯 (クー・フェン)/ 楊志卿(ヤン・チーチン) / 陳星(チェン・シン)