HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

マッドモンク 魔界ドラゴンファイター/濟公

STORY

天界の神・降龍羅漢(チャウ・シンチー)は、人間たちに無慈悲な他の神々をなじったために天界追放の危機にさらされる。しかし観世音菩薩(アニタ・ムイ)の計らいにより、何度生まれ変わっても道を誤ってしまう3人の人間を改心させれば、天界から追放されないということに。こうして降龍羅漢は、娼婦(マギー・チャン)、乞食(アンソニー・ウォン)、悪人(黄志強:カーク・ウォン)らを更正させるべく人間界に降りるのだが…。

REVIEW

シンチーが演じた主人公、降龍羅漢は12世紀ごろ実在したと言われる僧神で、出家して「濟癲」と名乗っていたそうです。僧侶ですが肉や酒を好み僧侶らしくない反面、弱き者には手をさしのべていたそうな。中国では子供も知っていて漫画やアニメなどもあるらしい。この物語も「濟癲」をモデルにした作品。

コメディの割に、意外と内容が深いなぁと思いますた。

中国仏教や古典が基になっているので、日本人には理解できない所もあることはあるんですが、いわゆる人間の業を描いていてラストはよかった?!と思う反面、ちょいと切ない。

物語の展開は前半と後半で雰囲気が違う感じで、最初はシンチー作品らしい笑いが展開していきますが、物語が進むにつれシリアスになっていますた。

キャラクターもシンチーが面白いっていうより、周りのキャラクターが面白い。特にン・マンタとアンソニー・ウォン

前半に出てくるン・マンタが最高。身体はオッサンで頭は幼児の役。しかも月が雲で隠れている時だけ天界の記憶が蘇るので月が現れたら、すぐ幼児に戻るところがツボ。シンチーはそんなン・マンタに振り回されるような役回りですた。

でも、途中でン・マンタは天界に戻ってしまうので、その後のボケはアンソニー・ウォンがバトン・タッチ。

そしてアンソニー・ウォンもナイスなキャラ。

乞食で卑屈で気も弱い。降龍羅漢/ローハン(シンチー)にやたらどつかれるけど、そんな二人だが友情がある所もよかったし、マギーに恋をして二人で豆腐を作りながらモジモジとする所なんて可愛いんだ。

だけど、その大種(秋生さん)がエラい目に・・・悲しすぎますた。

そして、その展開から一気に雰囲気が変わり、ちょいとシリアスな感じ。

そこから降龍羅漢の苦悩ややるせなさが現れて、物語が深くなってきてよかったです。前半がおとぼけな雰囲気だったので、後半のシンチーは真面目な表情にギャップが出てたまらなく格好いい!

シンチー自身、この作品は「説教臭い」って事であまりお気に召して無いみたいだけど、わし個人としてはコメディなのにテーマがあって悪くないと思います。

そして、観音菩薩アニタ・ムイなんて、もうホント神々しいまでに綺麗でちょっとした感動ですた。

物語の最後も綺麗に締めらて、それぞれの賭の対象となるキャラ(乞食・娼婦・悪人)がある意味救われる最後でよかったなぁと思いますた。

あと、「オバQ」がなにげに好きですた。

1994年/香港

監督:杜?峯(ジョニー・トー

出演:周星馳チャウ・シンチー)/ 張曼玉マギー・チャン) / 黄秋生(アンソニー・ウォン)/ 呉孟達(ン・マンタ)/ 黄志強(カーク・ウォン)/ 梅艶芳(アニタ・ムイ)/ 黄一飛(ウォン・ヤッフェイ)/ 陳惠敏(チャーリー・チャン