HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

愛と死の間で/再説一次我愛[イ尓]

STORY

交通事故で妻チーチン(シャーリーン・チョイ)を失った医師のコウ(アンディ・ラウ)は、仕事に追われて彼女に何もしてやれなかったことを悔やんでいる。その後、医師を辞めて救護員となったコウは、妻の死から6年後のある日、余命わずかの患者サム(チャーリー・ヤン)と出会う。彼女は自分が長く生きられないと悟り、夫のデレクと離婚していた。そのデレクが自分と瓜二つだと知ったコウは、あるアイデアを思いつく。

REVIEW

阿Saが急に大人びていてビックラこきますた。っていうか、こんな押さえた演技も出来るのね。と妙に感心しますた。

あと、アンディがここ何年かで風格が出てきたなぁと感じますた。

 

内容は韓国映画のような感じでしたね。ちょっとお涙頂戴な作り。わしにはちょっと苦手なジャンルですた。

コウ(アンディ)がサムの家に侵入して、そこでチーチン(シャーリーン・チョイ)との想い出を回想するシーンがちょっと間延びして眠くなりかけますた。しかも勝手に人の家で日記まで読むコウがちょいとコワかった・・・

あと、コウとデレクが同じ顔ってのに現実的にちょっとムリがあるような気がする。

でも、コウ演じるアンディの妻に対する想いが、深いけど控えめで押さえた演技だったので、悪くなかったです。

コウが残り少ないサムとの毎日をイベントや行事のように過ごす日々はよかったなぁ。サムに生きる希望を与える事でコウ自身もチーチンと共に生きている実感が保てたんじゃないかなと思う。

大きな喜びよりも大切な人といかに毎日を大事に過ごす所を描いている所が、この映画の最大の良さでした。

それと、チーチンの両親演じたホイ・シウホンとジジ・ウォンがよかった。

特に墓参りのシーン。

きっと父親も日々を普通に過ごして見えても娘を失った悲しみから6年間目を反らして生きてきたんだろうなぁっていうのがこのシーンひとつでわかる。チーチンの父もようやく本当に娘の死を受け入れ、娘の墓で語りかけるシーンがかなり泣けた。切なくも素敵な演出ですた。

この映画は全体的に王道でベタなストーリー。出てくる人物は、押さえ気味な演技だし、物語自体に大きな展開があるわけでもない。だけど皆、誰かを想い生きている所が凄くよかったし、だからこそ失った人への深い痛みが伝わるようですた。

ラストでコウの元へ手帳が届く。それはサムの最後の言葉だった。

「今度は私がチーチンになる」と語られるその内容はサムの言葉でもありチーチンの想いでもある。そこに残された人への深い愛があった。そしてこの手帳でコウは救われたんだと思う。

生きている者の愛と消えゆく人間の愛、そのどちらも純粋に人を想う心が描かれていて、切なくも凄く優しい映画ですた。

苦手なジャンルと言いながらも最後はオイオイ泣きますた。

2005年/香港

監督:余国偉

出演:劉徳華アンディ・ラウ)/蔡卓妍(シャーリーン・チョイ)/楊采[女尼] (チャーリー・ヤン)/黄秋生(アンソニー・ウォン)/許紹雄(ホイ・シウホン)/黄淑儀(ジジ・ウォン)