HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

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墨攻/墨攻

STORY

戦国時代。趙と燕の国境にある粱城は、趙によって攻撃されようとしていた。10万の趙軍に対し、梁城の全住民はわずか4000人。頼みの綱は墨家の救援部隊だったが、間に合いそうもなく、粱王は降伏を決断する。墨家の革離(アンディ・ラウ))がたった1人で駆けつけたのは、その直後だった。兵に関する全権を粱王から与えられ、早速城を守る準備に取りかかる革離。趙軍の指揮官・巷淹中は革離を好敵手と見なし、やがて激しい攻撃を開始する。

REVIEW

やっぱ、こういう映画は劇場で観なきゃね!

全体を通してアンディが貫禄があって革離という賢者のキャラに合っていてストイックで格好良かったっす!!わしは負け戦が軸になるストーリーや歴史ものが大好物なので楽しんで観れますた。

それにしても負け戦に身を投じる男の姿っていいわ?。

内容はわし、原作を知らないので何とも言えませんが結構イケてますた。

見所はやっぱり梁国と趙軍の戦いでしょう。革離(アンディ)の機転で危機を脱す攻防戦。いろいろな兵法が取り入れられて観て興奮できますた。

また戦いだけじゃなく後半には梁王の裏切りが交錯していて、展開として面白かった。

登場人物のキャラクターもいい。

巷滝中(アン・ソンギ)に敵ながら戦争屋としてしか生きる術を感じない男でだけど正々堂々として敵ながら好印象を持つ。また弓兵の子団(ウー・チーロン)も良かったなぁ。特に終盤に国を捨てて去るシーンは印象的。

また反対に味方のはずの梁王(ワン・チーウェン)が酷いったらありゃしねぇ!と感情移入ができるし、梁王の息子、梁適が革離に傾倒していく姿も悪くない。

このキャラクター達の存在感のおかげで物語が引き締まった気がしますた。

ただ、バランスがちょっと良くない気もしますた。戦のシーンが多いにも関わらず簡略化されているような印象だったし、また墨家の“兼愛”と“非攻”という思想があまり描かれていなかった事が気になるところ。まぁ“非攻”とは言っても戦で10万人の敵に立ち向かうワケだから、戦わずして勝つということは土台無理な話ではある。「攻撃は最大の防御」ともいうのでそこは仕方ない。でも革離が民衆に働きかける所にもうちょっと重点を置いたら民衆の心の動きや、戦いに身を置く姿に説得力があったかもと思う。

あと恋愛の要素はいるのだろうか?確かに逸悦(ファン・ビンビン)が“兼愛”の他にも愛があることを問うという意味では必要だったかもしれないけど、それ以外の存在意義が解らない。いや、それだけの存在だったのかも知れないと言ったほうがいいかも・・・

それでも、前半の戦のシーンそして後半で人間本質を描いた事、そして命を重んじる革離の考えとは裏腹な人々の行動で戦の虚しさ、不条理さを感じる事ができた。

そして革離の苦悩や葛藤も上手く表現されていて痛みが伝わる。

物語の終わりは寂しい。果たして革離がやった事に意味があるのか?と聞かれれば、それは虚しさだけしか残らなかった。けど同時に戦争に真の勝者や正義なんて無いという事を感じる。メッセージは伝わった映画ですた。

墨家について、多少の知識があると楽しめると思います。

2007/中国・香港・韓国・日本合作

監督:張之亮(ジェイコブ・チャン)

出演:劉徳華アンディ・ラウ)/王志文(ワン・ウーチェン)/范冰冰(ファン・ビンビン)/錢小豪(チン・シウホウ)/崔始源(チェ・シウォン)/呉奇隆(ニッキー・ウー)/午馬(ウー・マ)/安聖基(アン・ソンギ)