HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

マイ・ヒーロー/一本漫畫闖天涯

STORY

クラブのボーイとして働くシン(チャウ・シンチー)は漫画が大好き。特にハードボイルドに夢中で、クールでタフな主人公に憧れていた。ある日、シンが働く店でヤクザ同士の抗争事件があり、親分を助けたことから、シンはその組で働くことに。その組には、シンが憧れる漫画のヒーローがそのまま飛び出してきたような男・ジュン(ウィルソン・ラム)がいた。ジュンを慕うシンは、ジュンと親しくなり、一緒に仕事をするようになるのだが…。

REVIEW

この作品、チャウ・シンチーものだからとコメディと思って観てはいけません。結構シリアスものです。シンチーは多少キャラ的にコメディ要素は含まれているものの、まだまだ垢抜けない雰囲気。

そして、内容は恐ろしく破綻しているんだよなぁ・・・見終わったら不完全燃焼な気分になります。

話を詰め込みすぎて、何の説明の無いままに強引に物語が展開していきます。

例えば、サウナのシーン。敵対しているヤクザのボスとガマン比べをしていて、その場面は星爺がオナラしたりして「あれ、やっぱこれコメディかな?」と思ったら次の瞬間にボスは打たれて死んでしまう。

また、麻薬取引している男の行方不明の妻を捜して感動のシーンと思いきや、生首が出たりする。

麻薬の取引で見せ場を持って行ったかな?と思えば、後継者問題がヘンに出てくる。その後継者問題も別にシン達はボスの息子を押しているのに、そのボスに狙われてしまう。ラストでボスが『項羽と劉邦』の劉邦の話と『三国志』の劉備の話が出るまで「???」となってしまいますた。

結局、自分の部下が意外にも出来る人間なので脅威に感じて最終的には消えて欲しかったって事?ボスの意図がイマイチ解らない・・・

また終盤、何でシンが仇を取らずにアンタが急に・・・みたいな、かなりスッキリしない。

物語の〆もアンブリッジ・ウォーターだけがその場に取り残されるような寂しいラストだし・・・

盛り上がるかな?と思うと急に落とすような展開に強引さが出ているし、一体どういう方向に行きたいのかハッキリしないんだよねぇ。

せっかくさぁ、シン、ジュン、ビルの友情の描きかたとそれぞれのキャラクターはいいのに、そりゃ無ぇだろーと思うようなぁ。

ジュンは頼りになる格好いい男で、ビルは短気でちょっと頭の回転は良くない男だけど家族想いの男で、シンはジュンに憧れるんだけど、いざとなると銃が撃てなくて口で「バン、バン」なんていうキャラ。この三人が友情を深める所はホントいいのよ。そこは結構泣けちゃったりするんだよねぇ・・・。

脚本がもっとしっかりしていれば絶対良い映画になったはずなんだけどなぁ。そこがもの凄く残念に思う。

まぁ星爺ファンとしては初期の星爺が見れるし、顔は笑っているけど目が笑って無い表情とか見ていて面白いけどね・・・

1990/香港

監督:梁家仁(レオン・カーヤン)

出演:周星馳チャウ・シンチー)/ウィルソン・ラム(林俊賢)/アン・ブリッジウォーター(柏 安[女尼])/成奎安 (シン・フイオン)/袁和平(ユエン・ウーピン)/梁家仁(レオン・カーヤン)