HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

TIGER/兄弟

STORY

1930年代の上海。貧しいながらも助け合って生きてきた兄弟の兄フォン(ロイ・チョン)は、家族を養うために組織のヒットマンとなった。凄腕の殺し屋となったフォンは稼いだ金で弟ユイ(ルー・イー)を留学させたが、凄腕でありすぎたために組織のトップから疎んじられ、ついには罠に嵌って逮捕されてしまう。

獄中で自らの行いを反省し、カタギになることを誓うフォン。しかし兄の逮捕劇を知ったユイは兄を裏切った者たちに復讐するため、殺し屋となっていた・・・

REVIEW

キャッチコピーで「虎になれ!」と謳っていますが、全然虎になってません。

この映画は殺し屋の兄弟が活躍するというより、原題『兄弟』のタイトル通り恥ずかしいくらい兄弟愛を全面に出した映画ですた。日本版タイトルの『TIGER』って何だよ、一体・・・

この映画はね、ロイ迷の為にあるようなものと思ってます、ハイ。ちょっとムリしている感なロイが多数拝めます。ありがたや?。

ストーリー自体は84分間という短い時間。展開がスピーディですが全体的に中途半端。冒頭の始まりかたは面白いかな?っと思いましたが、物語が展開するにつれ尻すぼみになっていくような・・・

っていうか、一度はカタギに戻った男が弟の為に黒社会を相手に手を染めないといけないのは解るんだけど、いくら弟の為とはいえ、母親との約束を簡単にやぶっちゃいかんよ・・・ロイ。

そういう葛藤とか描いてくれたら説得力があったのに、この映画はそういう所をはしょりすぎ!

主役のルー・イーとロイ・チョンは殺し屋の設定なんですが、っていうかルー・イーのほうは短期間でなんであんなに凄腕の殺し屋になっているんだ?

しかもアクション的なものは二人ともあまり観られず・・・。

主役のルー・イーは兄貴を想う心が空回りするような役柄。いままでのフォンの苦労を無にしたくない気持ちで必死なわけだけど、そのせいで彼女のシュー・ジンレイに「兄貴が死んだら、お前を一生ゆるさない!」なんて言ってしまう。オイ、オイ、いくら何でもそりゃねぇよ!って思った。しかもルー・イーのラストはあっさりしすぎじゃ!

あと、病院のシーンも妙に半端な描き方だし何かいろいろともったいない。ロイをマークしているイヤミな警官にアレックス・マンが出ているんですが、このアレックス・マンがもっと絡むかと思いきやイヤミなだけで物足りない感じがした。

でも、女優陣はみんなよかったなぁ。フォン(ロイ)の彼女もフォンの為に命を懸けるイイ女だったし、ユイ(ルー・イー)の彼女を演じたシュー・ジンレイも凄く透明感があって、どちらのヒロインも一途に男を待ち続けるって所がよかった。

まぁいろいろと文句はありますが、結局ロイがいっぱい出ているので個人的には嬉しい作品。しかも、イイ人で一貫して格好いい漢を演じております。

家族の為に殺し屋になった男なんですが、家族には凄く優しくて自分の好きな女にも、自分が殺し屋という家業だから危険な目に遭わせたくなくて距離を置くんだよねぇ。しかも殺し屋として駒としての虚しさを知っている。だから弟にはまともに生きて欲しいと願っている男だった。こういうキャラクターをロイが演じると、悪役ロイしか知らない人は違和感を感じるかも知れないし、驚くかも知れない・・・

でも一応ロイってイイ人の役も結構あるのよ。でも日本版で発売されているロイ出演作品はインパクトの強い悪役ばかりが目立つので、この映画の日本版DVD化は嬉しかったなぁ。

あと1930年代の上海が舞台なので背景もいいし、ルー・イーもロイも帽子をかぶったスーツ姿がとにかく格好よかった!二人とも身長が180cm以上あるので見栄えするんだよね。でもロイのガタイのせいか、ルー・イーがスマートなのか解らないがロイがデカく見える。なんで?

そしてロイ自身、獣のようなキスシーンやダンスしてるシーンはガチガチでちょっと笑えた。まさに筋肉な動きですた。そして怒りに燃える顔はやっぱりゴリラですた。

日本版DVDジャケットを見るとルー・イーが主役みたいですが、この映画はあきらかにロイが主役ですた。ロイ迷としては内容はどうであれ、イイ人&素敵なロイが見れてありがたい作品です。

2004

監督:タン・ホンガン

出演:陸毅(ルー・イー)/張耀揚(ロイ・チョン)/徐靜蕾(シュー・ジンレイ)/柯受良(ブラッキー・コー)