HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

The Departed/ディパーテッド

STORY貧困と犯罪が渦巻く、ボストン南部で生まれ育った2人の男。犯罪者一族に生まれ、自らの生い立ちと訣別するために警察官を志すビリー(レオナルド・ディカプリオ)。マフィアのボス・コステロジャック・ニコルソン)に育てられ、忠実な“内通者”となるために警察官を目指すコリン(マット・デイモン)。2人は互いの存在を知らぬまま同じ警察学校で学び、それぞれ優秀な成績で卒業。コリンはマフィア撲滅の最前線に立つ。一方、ビリーに命じられたのは、マフィアへの極秘潜入捜査だった…。

REVIEW

『無間道/インファナル・アフェア』のリメイクという事で、鑑賞しますた。

リメイク作品なのでオリジナルと比べてはいかんと思いつつも、つい見比べてしまう。そんなわしが言うのもなんですが、この作品はオリジナルとは違う視点で観た方がいいかと思われます。

内容は8割方、オリジナルの路線をいっているのですが、タイトルに表しているように『無間道』と『デッパーテッド(死者)』ではだいぶ意味合いに価値観が違うのよ・・・

冒頭から流れるサントラですでにオリジナルとはかけ離れた世界観になっていますた。

映画全体はオリジナルのオイシイ所を集めて、それに水を足した感じ。「薄っ!」って思う。登場人物の描き方が希薄に感じてしまうんだよなぁ。

 

ビリー(ディカプリオ)は確かに潜入捜査官として任務を遂行していくんだけど、どうも警官としての生き方や誇りというより、自分のアイデンティティを求めているような感じで、そんなタイプの人間が果たして潜入捜査官としてやっていけるのだろか?といようなキャラクターだったし、コリン(マット・デイモン)は潜入した警察で出世していくけど、出世に調子乗っているただのあんちゃんにしか見えない。アンディが演じたラウは警官の道を選ぶけど、このコリンは結局のところどこへ向かいたいのかがハッキリしない。

なんかさー、二人とも激情型でお互い秘めた苦悩とか焦燥感が感じられなくて感情移入しづらいのよ・・・

第一、コステロジャック・ニコルソン)が前に出すぎ!これじゃあコステロを中心に取り巻く2人の男の話になっちゃうよ・・・

そしてコステロの存在感に比べ、上司のクイーナン(マーティン・シーン)の影が薄い。その代わりティグナム(マーク・ウォールバーグ)という存在があるんだけど、活躍すると思いきや物語を終結させる為だけにいるようなキャラですた。

それにお互いの通信手段が携帯電話だなんて安直すぎないかい?そういうところは妙に手抜きな感じがするんだよな?。オリジナルのモールス信号のシーンとか、いたく感動したわしにとっては何か物足りないんだよねぇ。

後、女医の存在がなぁ・・・。

オリジナルで言えばケリー・チャンが演じたリー医師に当たるかな?それがコリンとビリー二人に好かれるって設定なのよ・・・

わしにとっちゃあ、オリジナルのマリーの存在って結構大きかったりしたので、マリーに変わる存在がいないってのも、ちとショック。だってヤンとラウがお互いの存在を知らなくて偶然居合わせた場所で曲を聴くシーンとかラウにとってはマリーの事を匂わすようなちょっとした演出でよかったんだけどなぁ。ラウ自身の背景であったりした存在のマリーと、ヤンに関わるリー医師の役を一緒にしちゃったわけだから、そこんとこどうなのよ?って思ってしまう。

個人的にわしの好きだったシーンはことごとく打ち砕かれますた・・・

っていうか、スコッセシ監督ってこんな映画を撮るような人だったっけ?

『タクシー・ドライバー』とか『ニューヨーク・ニューヨーク』とか『グッド・フェローズ』とか作った同じ人とは思えないんですけど・・・

心に残るような部類の映画ではないですが話自体は面白いし役者は豪華なので一度観る価値はあると思います。っていうか、これを観てオリジナルを観ると、オリジナルの面白さを改めて認識できますた。

2006/アメリ

監督:マーティン・スコッセシ

出演:レオナルド・ディカプリオ/マット・デイモン/マーク・ウォールバーグ/アレック・ボールドウィン/ベラ・ファーミガ/レイ・ウィンストン/マーティン・シーン/ジャック・ニコルソン