HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

アンナマデリーナ/安娜瑪徳蓮娜

STORY

物静かな青年・ガーフ(金城武)のアパートに、陽気な青年モッヤン(アーロン・クォック)が住着ついた。ある日、ガーフは引っ越してきたマンイー(ケリー・チャン)に一目惚れしてしまう。一方、モッヤンは彼女のピアノの音がうるさいとケンカを売りにいく始末。だが、モッヤンとマンイーは反発し合いながらも惹かれあっていた。そして、マンイーの部屋が火事になってしまったとき、しっかりと彼女の側にいたのはモッヤンだった。ガーフはそのふたりの姿をみてしまい…。

<REVIEW

わし、この映画何度観ても好きです。

主演の金城武、アーロン、ケリーがとっても魅力的でバランスがとてもいい。

だからかは解らないけど切ないストーリーなのに見終わったあと、爽快感を感じてしまう。

アーロンが無邪気で女たらしなんだけど、どこか飄々としている所は魅力いっぱいだったし、ケリーが演じたマンイーも気が強く、でも恋に臆病でそこが好感もてたし、金城武が演じるガーフのキャラも静かなんだけど、じとーっとした感じじゃなくて控えめな演出。モッヤンの動とガーフの静という相反するキャラが話を面白くさせていた気がする。

そして、主役3人の他にゲスト出演した俳優が豪華なのも見所。張學友や曾志偉、袁詠儀や張國榮など、ホント豪華でそれを見るのも楽しめる。

ストーリーの構成も「第一楽章」「第二楽章」「第三楽章」っとここまではありがち。でもストーリーの構成を上手い手法で解りやすく表現しているうえ、その後の「第四楽章 変奏」が物語に厚みを持たせてくれている。

この「第四楽章 変奏」は金城武が演じたガーフが描いた小説の世界。その小説の話も確立していて見所がある。特にオルゴールに入っていたメッセージがよかったなぁ。

それと平行して出版社の社員を演じたアニタ・ユンと編集長を演じたレスリーの登場がサイドストーリーとして話を深くさせている。アニタレスリーに対する叶わない想いを描かれているのも凄くよかった。

そしてこのアニタレスリーの存在こそが「第四楽章 変奏」の劇中劇を現実に戻す接点だったし、アニタの言葉にできない秘めた想いに説得力をもたらしてくれた。

この「第四楽章 変奏」の物語がラストへ向かうとき、それぞれの登場人物の切なさに変わる気がしますた。

ラストは誰がハッピーエンドとかハッキリした意味を持って終わるわけではない。それぞれが様々な想いを昇華させて前に進んでいくようなストーリーでした。

それは切なくて甘酸っぱくも清々しい。

最後の締めくくりでこう語られる

「モク・マンイー(莫敏児)のいる人、いない人。出会えない人もいる。それが人生。」

生きていく中で必ずしも恋は必要では無いかもしれない。でも愛する人がいるだけでそれは喜びだと。儚いものだとしてもそれは幸せな事なのかも知れないと。この映画を見るたびにそう思える作品。

1998年/香港・日本

監督:奚仲文(ユー・チュンマン)

出演:金城武/郭富城(アーロン・クォック)/陳慧琳(ケリー・チャン)/張學友(ジャッキー・チョン)/曾志偉(エリック・ツァン)/袁詠儀(アニタ・ユン)/張國榮レスリー・チャン