HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

ラベンダー/薫衣草

STORY

アロマセラピーの店を経営するアテナ(ケリー・チャン)は、最愛の恋人を亡くした悲しみから立ち直れず、仕事と家を往復する孤独な毎日を送っていた。ある日、大きな音とともにテラスに落ちてきた白い物体。それは、背中に羽の生えたエンジェル(金城武)だった。こうして、エンジェルとの奇妙な同居生活が始まる。隣に住むゲイのチャウチャウから、アテナの涙の訳を聞いたエンジェルは、彼女を元気付けようと様々なことを試みる。エンジェルは、アテナを愛し始めていた…。

REVIEW

この作品、たぶん金城武のファンにはたまらんだろうなぁ・・・と思うほど、金城武が可愛いらしいです。

「愛を食べないと生きていけない」天使の役なんだけど、その天使、エンジェルが子供のように無邪気で、すごく可愛い。エンジェルがケリー・チャン演じるアテナから初めて靴を与えられて喜ぶシーンがあるんですが、その喜びが足元だけで上手く表されていて、この靴が映画の中でキーワードとして生かされた表現をしていました。

ただエンジェルとアテナの温度差があまりにもありすぎて、特にアテナが何時どこで惹かれていったのかが説得力がない気がしました。っというかアテナのテンションが最初から最後まで低すぎる・・・。悲しみを抱えた女性なんだけどさー、物語を進むうえでもっと表情に変化があってもよかった気がしますた。

でも、愛が溢れた世界で生きていたエンジェルが涙の意味や人が悲しむ事、失う事の痛みをアテナを通して知って成長する過程は上手く表れていてよかったです。

全体を通して思ったんですが、いい要素はたくさんあるし伏線の張り方も上手いとは思う。

靴、風船、香り、天使、と小道具の使い方やキャラクターに魅力は感じたんですが、物語全体のツメが甘い気がしますた。ファンタジー色が強いというかバランスが悪いのか、やっぱりヒロインのアテナの温度が低すぎて感情移入しづらい。そこが、少し勿体無い気がします。

意外とよかったのは隣に住むゲイの男チャウチュウを演じたイーソン・チャン。彼が笑いの部分を一手に引き受けてくれたおかげで、ちょっと退屈しそうになりかけた時にメリハリがついていますた。っというかこの人が一番オイシイ役どころだったわい。

他にも鄭佩佩や谷徳昭、尹子維がちょこちょこっと出ている所は結構嬉しかったです。欲を言えばもう少しこの人たちとの関わりをもっと深くしてくれたらなぁと思いました。

なんだかんだ言いながらラストはいい終わり方だったし、金城武のファンは楽しめる作品だと思います。

2000年/香港

監督:葉錦鴻(イップ・カムハン)

出演:金城武/陳慧琳(ケリー・チャン)/陳奕迅(イーソン・チャン