HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

つきせぬ想い/新不了情

STORY

作曲家のキット(ラウ・チンワン)は、恋人で人気絶頂の歌手トレイシー(カリーナ・ラウ)とささいなことで口論し部屋を出て、古いアパートを借りる。

隣の部屋に住む広東オペラの一家の娘ミン(アニタ・ユン)と知り合ったキットは、明るく積極的な彼女の行動力に引っ張られ、次第に頑なな心が解けていく。

ある日、トレイシーがアパートを訪れるがキットには彼女とよりを戻す気はなくなっていた。ミンの歌を聞いたキットは、彼女のために曲を書き上げることを約束する。

またミンの母親(フォン・ボーボー)は家族で広東オペラが続けられなくなるとして、娘がプロ歌手になることに反対。ミンの母親から、かつて彼女がガンに罹っていたことを聞かされる。それでもキットは、ミンを愛する気持ちに変わりはないとはっきり伝え母親に認められる。幸せな日々を過ごし、順調そうに見えた2人の仲だったが、母親の誕生パーティーも無事に終わったある日、突如、ミンのガンが再発し・・・

REVIEW

久しぶりに観ますた。やっぱり号泣。

完全に泣きを狙うような話で、「難病のヒロインが明るく生きる」ってストーリーはもう使い古されているが、これはそれを控えめにしていて、むしろ病気が再発するまでの日々が丁寧に描かれている所がよかった。

イー・トンシンって監督は登場人物の普通の日常や心情を上手く引き出して、観る側に感情移入させるのが上手いなぁと改めて思いました。

とにかくこのアニタ・ユンが凄くいいんだよね?。純粋でまっすぐで、キットっていう気難しい男の心を溶かしていくんだよね、それを日常の中で。それが凄く自然に映って見えてよかった。

そしてチンワンもすごく上手い。キットの心が解けていく過程を上手く表現していますた。

その二人が、友達から恋人になり、母親に認めてもらい、そして病に冒されてしまう。話の流れは使い古された話なのに今観ても新鮮に感じてしまうのは、この二人の役者やそれを取り巻く脇を固めた役者が魅力的なキャラクターだったからかも。

そしてラストに向かいヒロインのミンは病が再発するのだけど、そこは短くまとめられていて最後もサラリと描かれている。一瞬物足りなさを感じてしまうんだけど、観終わったあと、じわりじわりとキットとミンが過ごした時間が物凄くかけがえの無い日々だった事を感じてしまう。

それは決して戻ることは無いと観る側も解っていて悲しいんだけど、気持ちが前向きになれる作品ですた。

映画『タイヨウノウタ』の原案はこの作品らしいですね。最近知りますた・・・

1993年/香港

監督:爾冬陞(イー・トンシン)

出演:袁詠儀(アニタ・ユン)/劉青雲(ワウ・チンワン)/劉嘉玲(カリーナ・ラウ)/呉家麗(キャリー・ン)/馮寶寶(ファン・ボーボー)/秦沛(チョン・プイ)/張艾嘉(シルビア・チャン