忘れえぬ想い/忘不了
STORY
シウワイ(セシリア・チャン)はミニバスの運転手をする婚約者のマン(ルイス・クー)を事故で失う。マンの最期を看取った同僚のファイ(ラウ・チンワン)だった。
シウワイは家族の反対にもめげず、マンの連れ子ロロ(原島大地)を育てることを決意する。そのために彼女はマンと同様にミニバスの運転手となることに。しかし、運転すら満足に出来ないうえ、生活にせっぱつまってしまう。見かねたファイはシウワイに手を差し伸べいつしか二人は惹かれあっていくが・・・
REVIEW
ストーリーに大きな起伏はないものの主人公シウワイを取り巻く実情や心の在り方上手く引き出されていて、そこに感情移入してしまえるなかなかイイ内容でした。
またミニバスの運転手という設定なので、そこで生きる人々の暮らしやルール、現実が見れた気がしました。
セシリア・チャン演じる主人公シウワイが恋人を亡くし、その恋人の子供ロロを育てるため、また恋人を忘れないためそれこそ必死になって生きていく。
ストーリーの間にシウワイとマンの過ごした日々が綴られていて、それがかえって彼女をがんじがらめにしていく。でも人は思い出だけでは生きていけるわけでなく、厳しい現実が映し出されている所に、自分もそこにいるような錯覚を感じてしまうような現実や日常、またそこに恋人の死をきっかけにどんどん意固地になっていくシウワイの姿にリアリティがあった。だからこそ余計に大事な人を失い再生していく姿に共感が持てますた。
またそこに、チンワン演じるファイが自分の過去を拭うかのようにシウワイに手を差し伸べ、やがて愛に変わるがそれがシウワイに対する本当の愛情なのかと戸惑う悩む姿もよかった。
不器用な男は過去に決別し、意固地な女は恋人との想い出を消去することではなく昇華したんだなぁというラストが気持ちよく、どこか切ないストーリーですた。
2003/香港
監督:爾冬陞(イー・トンシン)