HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

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さらば、わが愛 覇王別姫覇王別姫/覇王別姫

STORY 1925年、北京。娼婦の母親に連れられ、京劇の養成所に入った少年・小豆子。小豆子は養成所の子供たちからいじめるが、そんな彼をただ一人小石頭だけがかばう。女性的な小豆子は女役に、男性的な小石頭は男役に決められる。小豆子は「女になれ」と老師爺(黄斐)に躾られ、厳しい世界を乗り越え、彼らは演技に磨きをかける。

成長した小石頭と小豆子は芸名を改め、小石頭は段小(張豊毅)、小豆子は程蝶衣(張國栄)と名乗り、京劇『覇王別姫』のコンビとして人気を博す。

 

段小はある日、客に絡まれていた娼婦の菊仙(鞏俐)を助けたことをきっかけに、彼女と結婚する。少年時代より段小にほのかな恋情を覚えていた蝶衣は嫉妬し二度と共演はしないと捨てゼリフを吐いて去る。そして、その日北京は日本軍に占領され・・・

REVIEW

中国国民党から共産党に移り変わり文化大革命までの中国の激動の時代を背景に京劇『覇王別姫』を演じる2人の愛憎を描いた作品。

約3時間程の長いストーリーにもかかわらず、時間の経過を感じさせないトリハダもんの作品。

京劇になじみの薄い日本人でも、その世界感に感動するし、何よりも主人公2人を取り巻く時代背景や人物の絡みも厚みがあって凄く重いストーリーですが、誰が見ても退屈はしないんじゃないかなと思う。

娼婦の母親に連れられて養成所に行くが、小豆子が指が6本あるため入所を一度は断られる。母親はその一本を切り落とし無理矢理養成所へ入れる。冒頭からこれだもん、凄い衝撃でした。

でも改めて思うが母親は母親で娼婦しか生きられないし、小豆子を育てられない。小豆子が生きるにはあの養成所しかなかったんじゃないかなと今となってはそう解釈している。

そしてレスリーが演じた蝶衣が凄く妖艶で美しく、それが儚い美しさで、コン・リーが演じる菊仙に対する嫉妬心を剥きだし姿なんてもう女そのものだし、弟子の小四に裏切られ役を降ろされた時の表情が何とも言えんほど素晴らしいかった。

対照的に強い女を演じたコン・リーも存在感があって、段小を取り巻く2人の絡みもストーリーを盛り上げてくれたと思う。

作品を観て思ったのは、人間はホントその時々の時代によって翻弄されるんだなーということ。そして、それがその時代に合わない人は悲劇だということだ。

それでもこの主人公達は翻弄されながら時代を生き、それぞれ幕を閉じていく。それがこの作品の面白さ美しさに繋がっていったような気がする。

私がこの作品を初めて観たのは7,8年前その時も感動しましたが、多少中国の近代史を知って改めて観るともっと楽しめるというのが実感。なので、これから観るという方にはちょこっと近代史に触れてみてから観るのもいいんじゃないかな?と思います。

そして、今となっては蝶衣を演じたレスリーに切なさを感じてしまう作品。

1993年 中国/香港

監督:陳凱歌(チェン・カイコー

出演:張國榮レスリー・チャン)/張豊毅(チェン・フォンイー)/鞏俐(コン・リー