HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

西遊記リローテッド/情癲大聖

Chinese Tall Story

STORY

莎車城という街にやってきた三蔵(ニコラス・ツェー)、孫悟空チェン・ボーリン)、猪八戒(ケニー・クワン)、沙僧(スティーブン・チョン)たちは、そこで英雄として熱烈な歓迎を受ける。しかし、滞在中の彼らを妖怪が襲撃、三蔵以外の3人が囚われてしまう。三蔵は3人を救出する方法を考えるが、一人ではどうにもならない。そんな中、彼はなんとも醜い妖怪・美艶(シャーリーン・チョイ)と出会う。美艶は高貴な三蔵に一目惚れし、彼につきまとうように。そこで三蔵は、彼女の助けを借りて悟空たちを救出する旅に出るのだが…。

REVIEW

「チャイニーズ・オデッセイ」から早10年、ジェフ・ラウ監督がまたまた西遊記ものを手がけますた。

西遊記」とあって孫悟空が主役と思いきや、ニコラス・ツェー演じる三蔵法師が主役。

まぁ、三蔵法師と妖怪の美艶(シャーリーン・チョイ)のラブストーリーです。

映像に妙な濃さが目立ちCG多用で、中盤からこれは特撮ものなのか?ゲームの世界なのか?と不安要素バリバリです。

物語に説明不足な点も多いし、チェン・ボーリン演じる孫悟空は冒頭にちょこっと出て、クライマックスあたりまで出てきません。

ん、でも全然期待してなかったの。勝手にコメディとか思っていたし、軽い気持ちで鑑賞だったんですが・・・いやー良かったです。

中盤まで色々な不安要素がありすぎて淡々と鑑賞していたんだけど、逃亡先で過ごす三蔵と美艶の姿を見ているうちに何ともいえない切なさがこみ上げてきますた。展開としてはドタバタなのにその中に伏線があって、終盤その意味に泣けてくる。

やっぱり、ジェフ・ラウ監督の描く世界はどこか切ない。思いがけない所に涙を誘うシーンがいくつもある。

音楽を担当したのは宮崎監督でおなじみの久石譲。その久石ワールドといいましょうか、優しい旋律が何気ないシーンをグッっと引きだたせて物語に入り込ませてくれますた。

あと、醜い妖怪・美艶を演じた阿Saがかなりよかったです。キャラクターがとにかくいい。

最初はうっとうしいくらいの存在で見た目は醜い姿で三蔵にとっては傍迷惑だが、その裏側に純粋な部分があって、この美艶ってキャラクターが愛おしい存在に変わった。

でも不思議なもんで何故か綺麗になった美艶より、不細工な時のほうが魅力的なキャラなんだよね・・・

全体的にアンバランスな部分は多い。中だるみも感じる。

物語もシリアスな部分とコメディ色の部分で温度差を感じてしまうし、中盤は「スター・ウォーズ??」って思うような場面に引き気味にもなってしまう。スパイダーマンのバッタもんのような姿とか「オイ、オイ・・・」とか感じてしまう。

あと、終盤あたりのシリアスな場面のお釈迦様のCGで笑ったりもしたけど。

それでも、終盤の展開はかなりよかった。もう、号泣に次ぐ号泣。

お互い心が通じあえた二人だけど、結ばれる事を許されない二人。その意味は物語の最後に解る。

このラストの三蔵と美艶の姿にただただ、切なさがこみ上げる。

さすが、ジェフ・ラウ監督といいましょうか着地点に巧い演出をしてくれる。マジ泣きしますた。

2005年/香港

監督:劉鎮偉(ジェフ・ラウ)

出演:謝霆鋒(ニコラス・ツェー)/蔡卓妍(シャーリーン・チョイ)/陳柏霖(チェン・ボーリン)/范冰冰 (ファン・ビンビン)/張致恒(スティーブン・チョン)/關智斌 (ケニー・クァン)