HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

精装難兄難弟 Those were the Days

STORY

1997年、今をときめく人気監督・王昌衛(ウォン・ヂーワー/黄子華)は金牛奨授賞式の席上で、往年のスター達を目前に香港映画界にとって60年代は暗黒の時代とこき下ろす。その夜TVから「電影」と名乗る男が現れ、王昌衛は画面の中へと引きずり込まれ、気がつくと1960年代の映画の撮影現場に居合わせるハメに。

「電影」に現代に戻るには、この世界で映画を撮って誰か一人でも賞賛すれば良いと告げられ・・・

STORY

MATVにて鑑賞。

物語は王家衛ウォン・カーウァイならぬ、王昌衛が60年代の映画を馬鹿にしたためにその時代にタイムスリップし、現代に戻るまでの話。

それにしても王昌衛って!あきらかに王家衛じゃん!って感じで物語りは展開していきます。

その主人公、王晶衛が売れない役者3人組と出会い彼らを成功へと導いて行くんですが、そうは上手くは事は運ばず、しかもやっと監督の仕事までこぎつけたのに、その映画は認めてもらえず・・・って感じで物語は進んでいく。

往年のスター呂奇や曹達華、謝賢、たぶん關徳興まで60年代に活躍した役者をパロディ化したり、「東邪西毒」ならぬ「東蛇西鹿」というタイトルの映画が出てきたりと、ある意味「大丈夫か?」と思えるくらい遊び心を感じる演出がツボにはまりますた。

イヤ、ほんと寛大だよねぇ香港映画って・・・

このパロディ化している演出も面白かったけど、ウォン・ジーワー演じる主人公、王晶衛がまだワイヤーアクションのなかった時代に撮影現場の演出でワイヤーを取り入れたりする所とか、映画に新しい試みをしようとする場面をみると、「きっと、こうやって映画は進化していったんだろうなぁ」なんて思えて、楽しい演出を感じます。

んで、物語の中で王晶バリー・ウォンならぬ王星も出てくるんですけど、主人公の王晶衛は現代で王星と仲が悪い設定。60年代にタイムスリップして子供の頃の王星と出会う事になるんですが、子供の王星を大人の王晶衛がいじめたりするんですよ。でも、この子供の王星の存在が物語のオチでかなりイイ。着地点はかなり好きですねぇ・・・

そうそう、王晶のお父さんである王天林もパロディされてますた。

登場人物は売れない役者3人組=狄龍っぽい役ををナット・チャン、謝賢らしい役をン・ジャンユー、たぶん呂奇をロー・ガーリョンが演じています。

この3人組の存在+王晶衛の関わり方も面白く描かれていて、冒頭に出てくる写真の存在がなかなかイイ味を出していますた。

・・・にしても、黄子華が最初から最後までサングラス掛けっぱなしで、サングラスを外した姿は一瞬しか拝めなかったのがファンとしては、ちと切なかったわい。

でも、物語としてはかなり楽しめますた。

もう、冒頭からラストまでパロディの連続。ここまで描いていいのか??と思えるほど。

「ポリス・ストーリー」然り、ハトが飛んだときは「英雄本色か!」と笑い、鎮宇が演じた役は謝賢だったはずなのに、「古惑仔」のカン役として現れたときは爆笑しますた。しかもヨボヨボ・・・

ホント、もう何でもアリ。こういう掴みは香港映画らしい面白さだなぁと思いますた。

他にも色々な俳優がちょこちょこと出演したりする所も見所で、香港映画が好きな人は結構その演出に楽しめたりすると思います。

観始めたときは皮肉たっぷりな演出が心配だったけど、観ていくうちに愛情がある描き方だったことに気づく。映画に対する愛情を感じる作品ですた。

1997年/香港

監督:曹建南(ディック・チョウ)

出演:黄子華(ウォン・ジーワー)/陳百祥(ナット・チャン)/呉鎮宇(ン・ジャンユー)/羅嘉良(ロー・ガーリョン)/舒淇スー・チー)/張可頤(マギー・チョン)/陳彦行(ジョイス・チェン)/羅家英(ロー・ガーイン)