HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

イノセント・ワールド/天下無賊

STORY

ワン・ポー(アンディ・ラウ)とワン・リー(レネ・リウ)はスリを生業とし各地を転々としている。彼らは互いに愛し合ってはいたが、流浪のスリ生活に疲れたリーは、ポーとの決別を覚悟で足を洗いたいと言い出す。そんな時、列車の中で純朴な農民フーグンに出会ったリーは、彼が出稼ぎで貯めた6万元を懐に故郷に帰ろうとしていることを知り、その金を狙うポーからフーグンを守ろうと決意。しかし、フーグンを狙っているのはポーだけではなかった。偶然同じ列車に乗り合わせた窃盗集団のリーダー・ピャオ(グー・ヨウ)もまた、フーグンをターゲットにしていたのだ。疾走する列車の中、6万元を狙うポーとピャオ、そしてフーグンを守ろうとするリーの、三つ巴の闘いが始まろうとしていた…。

REVIEW

「ハッピー・フューネラル」最近では「女帝/エンペラー」の監督、馮小剛の作品。

物語の8割は狭い電車のなかで繰り広げられる。面白さは、アンディ演じるスリと窃盗団の攻防。狭い電車で純朴な青年が大事に抱える6万元を奪ったり奪い合ったりする、その様に目が離せない。

特に窃盗団にリーダー、ピァオとポーの卵の殻向き対決は面白かった?。

そうくるかい!って思わず言っちゃったもん。

その窃盗団のリーダー、ピャオを演じたグゥ・ヨウのキャラクターもよかった。

謎めいていて、格言をよく言う落ち着いた雰囲気かと思えば、淡々と冷徹な所も見せて、どこかで怖いなこの人って思わせる雰囲気があった。

そして、あの純朴な青年。単に純粋なのか?バカなのか?と聞かれれば個人的には、ただのバカに見えてしまう。心配する仲間をよそに人前で6万元を持っている事を公言する所は、いくら人を疑うことを知らないとはいえ無防備すぎ。まぁその無防備すぎな所がかえって守りたいと思わせる純朴さに繋がる。

観ているこっちまでその無防備さにハラハラしっぱなしですた・・・

監督の馮小剛は面白い作風を撮るなぁと感じますた。

カメラワークに関しては、ちょっと懲りすぎてワン・ポーがスリを働く所とか見えづらかったりもするけど、スローで見せる演出は面白かったです。

あと、ちょっとシニカルな演出や間抜けな登場人物とか、キャラクターの描き方が面白かった。

ただ、この物語の軸である青年フーグンが中盤以降、出番が少ないのが少し勿体ない気がする。もうちょっとこの青年との絡みがあってもよかったのでは?とも感じてしまった。

そして、物語自体が一体どこに持っていきたかったのか少し解らない。コミカルな部分とシリアスな部分に落差を感じてしまう。窃盗団の存在がちょっと間抜けだったりするので、物語のオチに多少違和感もあって腑に落ちない気もした。

だけど最後のレネ・リュウの食べっぷり。あの姿にこの物語の全てが詰まっているように感じた。

悲しみも罪も背負っていく決意。前に向かっていく心。それが最後のあの表情一つで感じられて切なかった。

あの最後のレネ・リュウの表情を観るだけでも、この映画を観る価値があると感じますた。

そして、中盤以降でアンディのカツラが取れてホッとしますた。

2004年/中国

監督:馮小剛(フォン・シャオガン)

出演:劉徳華アンディ・ラウ)/劉若英(レネ・リュウ)/王寶強(ワン・バオチャン)/李冰冰(リー・ビンビン)/林家棟(ラム・カートン)/張涵予(チャン・ハンユー)/葛優(グォ・ヨウ)