ターンレフト・ターンライト/向左走・向右走
STORY
無名のバイオリニスト・ジョン(金城武)と雇われ翻訳家のイブ(ジジ・リョン)は、壁一枚を挟んで建てられたアパートの隣同士に住んでいる。しかしアパートの玄関を出るといつも右に曲がるジョンと、反対の左に曲がるイブは、一度も顔を合わせたことがない。そんな2人が、ある日公園で知り合った。お互いが、昔サマーキャンプで気になっていた相手だとわかり、夕立の中で電話番号を交換する。奇跡の再会を喜ぶ2人だったが、翌朝になって愕然とする。紙に書かれた番号が、雨に濡れてにじんでいたのだ…。
REVIEW
ジョニー・トーとワイ・カーワァイの事だから、なんかトンデモな事になりそうな予感はしていましたが、まさかラスト、あんなオチとは!でも、わし、ああいうラストって結構好きです。
台湾の人気童話作家ジミー(幾米)の絵本「君のいる場所」の映画化。
金城武が演じるジョンとジジ・リヨン演じるイブのすれ違いが面白く描かれていますた。いつで会えるんだろうとワクワクもしたし、もどかしさも感じたし、切なくもなって凄く見応えがあった。
内容はベタな恋愛もんで、結末はどうなるか想像がつくのに、展開がもう、ありえない事の連続。でも、そんなありえない展開を徹底して作ったお陰で面白味が増しているように感じる。
また、演出に面白さと粋な雰囲気があって、公園の犬や赤ん坊を使った演出はちょっと可愛らしくてファンタジックだし、お互いの大家さんが出会う場面とか、ほんのちょっと出演するラム・シューの存在とか、遊び心があるのか、余裕を感じれる演出もよかったです。
そして、ジョンとイブのすれ違いを最も盛り上げてくれたのが、ジョンに恋する食堂のウェイトレス(テリー・クワン)とイブに恋する医者(エドマンド・チャン)のお邪魔虫二人。
この二人がいなければ面白さは半減したかもしれないほど印象的。あの強引さが面白くて、キャラクターとしては、かなり印象的。
主役の2人よりも、どちらかと言えばこの二人が魅力的だったなぁ。
「運命の人」とか「運命の出会い」と言うと少し恥ずかしさがあるけど、人と人との“縁”を上手く表現している映画だと思いますた。
ん?でも、映画としてはあのオチできっと賛否両論となるでしょうねぇ・・・。
もう見事なまでの強引さ(見れば解ります)。
ちょいと切なくなった時にあのオチかい!!とかなり突っ込ませていただきました。
でも、わし自身はあのオチでいいと思う。お間抜けなふたりのお間抜けなオチ。ありえない展開なんだから、ありえないオチでいいじゃないの。
何かお陰でスッキリ、サッパリしますた。
2003年/香港=シンガポール
監督:杜琪峯(ジョニー・トー)/韋家輝(ワイ・カーファイ)
原作:幾米(ジミー・リャオ)
出演:金城武/梁詠琪(ジジ・リョン)/陳之財(エドマンド・チャン)/關穎(テリー・クワン)/林雪(ラム・シュー)/許紹雄(ホイ・シウホン)