流星-The KID-/流星語
STORY
マネートレーダーとして成功を収めていたウェイ(張國榮)。重役令嬢との婚約も控え、輝かしい未来が手に入るはずだった。しかし、突然の暴落により、一夜にして何もかも失う。
絶望の中、クルーザーで酒を煽るウェイ。そんな彼の目の前に捨て子の赤ちゃんが・・・
赤ちゃんと共に書置きの手紙を見たウェイ。その中には「お金持ちの方に育てていただければ」と書かれていた。
1度は赤ちゃんを置き去りにしようとしたウェイだったが、見捨てられず、赤ん坊と生きる決心をする。
ウェイは赤ん坊にミンと名づけ、香港の下町で暮らし始める。
そして4年の月日が流れ・・・・
REVIEW
レスリーが脚本に惚れノーギャラで出演をした作品。
どうやら、チャップリンの『キッド』がベースとなっているらしい。
このレスリー、いつものスマートさはほぼなくて、ヨレヨレの不精ヒゲ、しかも内容は一見ベタな作りだが、レスリーの魅力だからだろうか結構しんみりと観れて
切なくイイ作品です。
いつもとは違うレスリーの役どころは彼に新たな魅力を引き出してくれました。
なによりもウェイのなかでミンの存在が大きく描かれている姿がイイ。
本物の親子じゃないのに、時には優しく、時には厳しいウェイのミンを愛する姿が何よりも本物の親子以上に描かれていて「なんかエエなぁ?」なんて思ってしまった。
ストーリーと共に進められていく、警官ルン(ティ・ロン)と老人ホームの女主人ラン(キャリー・ン)への恋心がまた思った以上の出来で、個人的にはこの二人のエピソードが一番の泣き所だったかも知れない。
前半は親子の絆がこれでもかと言うほど描かれて、後半は定職もなく保証もないウェイの心の葛藤が映し出されていて、現実の厳しさ、ミンへの愛情が切なく伝わってきました。
ミンを思うがうえのウェイの決断。
いつものように過ごす朝、なにげない会話。
そして、バックで流れる「小明星」。
そのひとつひとつがもう戻る事はない日々を描いていて、
最後に見せる振り向きざまのレスリーの表情がもうね、何とも言えん。
ラストはきっと賛否両論だと思うが、個人的には私はあのラストでいいと思う。
地味な作品だけど、一味ちがうレスリーの魅力を感じる一本。
1999年
監督:張之亮(ジェイコブ・チャン)