MAD探偵 7人の容疑者/神探
STORY
被害者が殺された状況に身を置き、数々の殺人事件を解決してきたバン刑事(ラウ・チンワン)。しかし、数々の奇行が原因で失職してしまう。ある日、かつての後輩ホー(アンディ・オン)がバンの元を訪れ、失踪(しっそう)した刑事のことについてアドバイスを求める。バンは、失踪(しっそう)した刑事と行動を共にしていたコウ刑事(ラム・カートン)が多重人格であることを突き止める。
REVIEW
半年前に観てレビューUPするの忘れとったーーー!!ってことで再鑑賞。
ジョニー・トー&ワイ・カーワァイのW監督作。このタッグ、まじでハズレないわー。
やっぱ、演出も脚本もオチもすげぇって唸る。
物語は刑事の失踪事件で刑事のホー(アンディ・オン)がアドバイスを求めに失職した元刑事バンの元へ訪ねていく。
バンは多数の事件を解決してきた刑事ではあるんだけど、もうそのやり方が半端ない。
もうイっちゃってんの。
豚吊るして切り裂いたり、スーツケースに入って階段から落ちたり、まぁトンデモな思考の持ち主なのです。
上司に自分の耳を切り落として渡したりする場面は冒頭からぶったまげたりなんかするわけです。
そしてこの耳たぶがこの物語に無くてはならない意味ももたらす。そこはやっぱ巧いよね。
んで、失踪事件の犯人はすぐ解るんだけど、その犯人は多重人格のコウ刑事(ラム・カートン)だったりするわけです。
その演出がバンの目線で描かれているわけなんだけど、すげぇ面白い。
よく思いついたというか、やっぱバンも頭がおかしい人だからさー、あの演出って面白いと同時に説得力があるんだよねー。そして洒落てる。
コウと7人の動きがシンクロしたとき、すげぇこの映画半端ねぇ!!って気になった
主人公を演じたラウ・チンワン(以下:らうちん)はもう抜群の安定感。
このバンのキャラを演じきっていたし、らうちんの風貌がなんかファニーで濃くて目が離せない。
バンの狂気の中にある弱さ、妻に対する感情、このメチャクチャなキャラが物語を最後まで引っ張る。
この物語の面白さはやっぱ主人公バンの奇行だったり、多重人格者であるコウの演出だったりと解りやすい部分ももちろんだけど、バンを頼って行動していた刑事ホーの心情の変化も欠かせない。
バンを信じて頼るホーがバンの暴走と奇行によって不信感が生じたとき、品行方正で純粋なホーにもまた別の人格が生まれてくるわけです。ホーのような真面目人間でも色んな側面があるって事が凄く解り、多かれ少なかれ誰にでもそれはあるもんだと感じる場面だ。ここの場面の表現はかなりツボだった。
で、ラストはお約束の銃撃シーンですが、やっぱここはジョニー・トーですねぇ。もう見事。
緊張感伴いながらも美しいというか、粋な演出。
そして最後、ホーの変化は皮肉だねーーーと苦笑いする。
トンデモ支離滅裂映画、でも面白い。個人的に傑作。
2007年/香港製作
監督、製作:杜琪峰(ジョニー・トー)、韋家輝(ワイ・カーファイ)
出演:劉青雲(ラウ・チンワン)、安志杰(アンディ・オン)、林家棟(ラム・カートン)、林雪(ラム・シュー)、林熙蕾(ケリー・リン)、谷祖琳(ジョー・コク)