HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

自梳(女ともだち)

STORY

1940年代の中国・広東省順徳。男尊女卑の時代に、若いイーファン(チャーリー・ヤン)は父親の借金のため、意にそぐわない結婚をさせられようとしていた。結婚から逃れるため、"自梳女"になろうとするが、阻止されそうになり、通りかかった元娼婦のユィファン(カリーナ・ラウ)に助けられる

REVEIW

MATVにて鑑賞しますた。

個人的にはすごく良かったなぁと思える映画ですた。

同性愛のような友情のような揺れる心を繊細に描いていて、結構おすすめ。

"自梳女"のイーファン(チャーリー・ヤン)と娼婦ユィファン(カリーナ・ラウ)の物語。

『自梳女』とはなにぞや?と思う人も多いでしょう。私もこの作品を知るまで意味がわかりませんですた。

どうやら一生独身を通すと決めた女性たちの共同体。主人公のひとりイーファンも親の借金のカタに意にそぐわない結婚をさせられそうになったために自梳女の共同体に逃げこむわけです。

そんな"自梳女"イーファンが無理やり結婚させられそうになり自殺しようとするところを偶然通りかかった娼婦のユィファンに助けられたところから物語は始まる。

その後シルク工場で働くことになったイーファンはそこでユィファンがシルク工場の社長の8番目の妾とわかるんですね。他の妾と折り合いの悪いユィファンが妾と争っている所をイーファンが庇い、そこから主従関係のようになるんですが、そこから段々友情になり愛情に変わっていくんですね。

その過程が見ている側にもすごく切なく映る。

物語は現代と過去が交差して展開していく。

現代で建築学を学んだキャリアウーマン小慧は結婚も決まり順風満帆なはずの小慧は恋人に捨てられてしまう。そんな小慧(テレサ・リー)の元に父親の元で働いていた老家政婦イーファンがやってくる。

古い友人に会うために故郷へ帰るイーファンを連れていくことになった小慧は口うるさいイーファンに反感をもつんですけど、恋人に振られボロボロになった小慧はいつしかイーファンとユィファンの過去を聞いていくうちに理性を取り戻す。

突っ込みどこといえば、キャリアウーマンの小慧が恋人にこれでもかっってくらい食い下がる所。

ガッツがあるというか、ガツガツしてるっていうか・・・イヤ、だから男が逃げちゃんじゃ・・・と思うほどガツガツしております。女って強いね・・・

そう、この物語は女が強いのです。もちろん女として生まれた弱さも描いているけれど最終的には女ってやっぱ強いなーなんて思う。だからこそ共感して見れた。

もう、何がいいかってカリーナ・ラウがいいのよ。

カリーナが演じるユィファンが勝気できっぷの良い女で、だけど元娼婦だから旦那の商売の為に使われてしまうんですね。それでも強い女で、だけどイーファン対する感情に少しづつ変化が出てくる。その心の動きは見ている側も切なくなってしまうんですね。

他にもユィファンやイーファンにとって苦しい場面が訪れる。

もう女としての尊厳が失われるのは、やっぱり見ていて辛いなと。でも、だからこそ友情が愛情に変りイーファンはユィファンを一度拒否するんだけど最終的には二人は強く結ばれるんですね。でも、今度は時代が二人を引き裂く。

現代の時に老人になったイーファンが過去の回想をするとき時々ユィファンの視点で描かれているように感じられた。それが、最後に何を意味したのかがわかる。すごいさりげない演出だけど、そこにぐっとくるものがある。

お互いの感情が友情なのか愛情なのか曖昧な部分もあるけれど大きな愛を描いていたのが伝わる。

だからラストに年老いたイーファンとユィファンの姿に泣ける。

今のところ、この作品が鑑賞できるのはMATVか日本語字幕のないDVD等を購入するかなので、MATVで鑑賞できるかたは字幕も付いているので是非おすすめです。

ですが、わしが鑑賞したのは短い2時間弱のバージョンらしい。なので、結構説明不足な点も感じられた。

調べてみるとディレクターズカット版は2時間30分ほどあるらしい。

短いバージョンでも凄く良い作品だと感じたんで、いつか長いバージョンが見てみたいです、ハイ。

1997年 香港製作

監督:張之亮(ジェイコブ・チャン)

出演:楊采妮 (チャーリー・ヤン)/劉嘉玲 (カリーナ・ラウ)/歸亞蕾 (グイ・ヤーレイ)/李綺紅(テレサ・リー)