HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

コネクテッド/保持通話

STORY

ロボット設計士のグレイスは、6歳の娘を女手一つで育てているシングルマザー。ある日、娘を学校へ送り届けた帰り道、見知らぬ男たちに拉致され、倉庫の中に監禁されてしまう。彼女は破壊された電話機を修理して外部への連絡を試みる。(allcinema ONLINEより)

REVIEW

米版「セルラー」をリメイクした香港版「コネクテッド」を鑑賞しますた。

香港がハリウッド映画をリメイクするのは初めてだそう。

それを聞いた時はかなりの不安にかられましたが、実際鑑賞するとそんな事気にする必要は無かったです。

感想は?と言えば、んもーーー!!!かなりの出来。上出来すぎ。

監督は『香港国際警察/NEW POLICE STORY』や『インビジブル・ターゲット』の陳木勝(ベニー・チャン)

この監督は作品を出すごとに、映画の質が上がっていっていると感じますた。

エンターテイメントに優れて見せ方がかなり上手い。

この作品もハリウッド映画のリメイクにも関わらず、正直オリジナルよりもかなり良かったです。

物語はロボット設計士のグレイスが突然何者かに監禁される事から始まる。そこは、ロボット設計士らしく?壊された電話の部品を繋ぎ、どうにか外部との接触を試みたところ、一人の男・アボン(ルイス・クー)の携帯電話に繋がり物語は展開していく。

もう、最初からハラハラしっぱなしの連続。開始早々、目が離せなくなってしまった。

お互いが顔も知らず、電話一本で繋がった緊張感。状況が電話を通してしか知らず、刻一刻と緊張感を増す。

グレイスを助けようとする主人公アボンは冴えない一般人で、一人息子がいる父親だ。

仕事にかまけて息子との約束を普段果たせずにいるアボンは、息子と空港で見送る約束をする。だが、グレイスのSOSで彼は空港どころか、ありとあらゆるトラブルに巻き込まれていく。

この普段冴えない男が、必死になってグレイス達を助けようと奔走する姿がよかった。

だからこそ、物語は俄然面白さを増していた。

もちろん劇中のカーチェイスや、携帯充電会社の場面、断崖絶壁の場面、そして空港での攻防戦、どれを取っても手に汗握って

楽しめる。安心したと思えば、次から次へと仕掛けを出してくるので、そこは娯楽的な面白さも感じますた。

ちょっと、アボンの場面で飽きが来そうだなぁと思えば、グレイスの場面の緊張感に切り替わったり、そして交通課の警官・ファイの場面に切り替わったりとなかなかリズムがいい。

オリジナルでは英語訛りの違いをここでは北京語と広東語の違いで事件に気づく演出がよかったなぁ。

あの場面は印象的ですた。

キャスティングとキャラクター設定がよかった。

主人公・アボンもグレイスもシングルマザーでお互い子供がいるって共通点が、成り行き状だけど、アボンを必死にさせる要因だったと思うし、あのアボンの雰囲気も設定上いい。

バービィー・スーもいつの間にこんな役できるようになったんだろう。

アイドルのイメージがすっかり抜けて、女優さんだなぁって感じた。儚げに見えて強い母親ってのも良かったです。

でも、やっぱ母親にしては可愛いすぎだとは思うけど。

アボンの状況で事件に関わる交通課のファイの存在もいい。

今では左遷され交通課に勤務している男でかつての部下のイヤミに耐えていて、でも刑事の勘が冴え渡る昔気質の刑事って感じがよかった。そして、イヤミな元部下も物語には必要不可欠な存在で良かった。

そして、誘拐犯のリウ・イェが怖い、怖い。

サングラス外した瞬間「どえぇぇえぇ??!!アンタ、リウ・イェかえ??」ってなりますた。わしのイメージにあるリウ・イェと違ったんで・・・でも、凄い存在感。

最初っから怖い存在だったけど、サングラスを外してから、さらに怖いんだよ。

なんか目つきが狂気を秘めていて残虐性があって、スゲー上手いんだよね。

ほんと、いい俳優だ。

物語は前半はかなりのスピード感と「???」ってな謎を含めて展開。

後半は少しずつ謎が解き明かされ、物語は二転三転と先の読めない緊張感が漂う。

ちょっとコミカルに、ほんのり切なさもある。

香港映画のアクションの底力と陳木勝監督のエンターテイメントな演出が功を奏す。そして、役者の存在感。

もう、素直に面白かったです。これは、香港映画が得意じゃない人にも奨められる一作だと思います。

これぞ香港パワーです、ハイ。

2008年 香港

監督:陳木勝(ベニー・チャン)

原作:ラリー・コーエン

出演:古天樂(ルイス・クー)、徐熙媛(バービィー・スー)、張家輝(ニック・チョン)、劉[火華](リウ・イェ)、張兆輝(エディ・チョン)、陳慧珊(フローラ・チャン