HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

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風にバラは散った/殺手蝴蝶夢

殺手蝴蝶夢

STORY

リック(ケニー・ビー)は、恋人ラップ(ジョイ・ウォン)の父親のために殺人を犯してしまう。海外へ逃亡するリック、父を救うため組織のボスの情婦となるラップ。こうして別れを余儀なくされた2人は、6年後に再会する。お互いを忘れられない2人は、チンピラ、チョン(トニー・レオン)の手助けで、逃避行することに……。(allcinemaより)

REVIEW

凄く久々に鑑賞しますた。

この時代のノワールものって、今観るとベタでくどいなぁなんて思いながらも結構懐かしいもんがあります。特にこの作品は黒社会ものといっても、パトリック・タム監督なので情緒的な雰囲気で一見派手な銃撃戦もあるものの、どこかしっとりした雰囲気が漂う。

まぁでも、主人公の阿Bとジョイ・ウォンよりトニーさんやヤクザのボス演じたチャーリー・チャンとかその手下のリュー・チャーフィーの方が印象強いんだよね。チャーリー・チャンの冷静で残忍な演技とか凄く怖えー!!って感じたし、リュー・チャーフィーのズラには大爆笑でしたし・・・

物語はリック(阿B)は恋人ラップ(ジョイ・ウォン)の父チャンの裏の仕事に連れ立っていくが失敗。ラップの手回しでリックはフィリピンへ逃亡。6年後、香港へ戻ったリックとラップは再会するんだけど、6年前リックと父親を助けるためにラップはヤクザのジンの愛人となっていて、さぁ二人はこれからどうなる?!ってな話。

主人公はジョイ・ウォン演じるラップと阿B演じるリックのはずなんですけど、中盤からチンピラ、チョン演じるトニーさんにオイシイ所を持っていかれているようですた。

トニーさんが演じるチョンはジンの手下の舎弟で、ラップの世話係みたいなもんなんですが、ラップの事を密かに想っていて彼女を命がけで助けるんですねぇ。んで、ボスにどえらい目に遭わされるハメになるんですが、そこでも男気を見せるような男で、時折ラップに向ける眼差しが観ているこちらにまで想いが伝わるようで何だか切ないんだよなぁ。

なんか、阿Bの格好良さもジョイ・ウォンの美しさよりも、トニーさんのあの切ない目が一番記憶に残るキャラクターですた。

やっぱ、この作品で最優秀助演男優賞を受賞したのも納得。それくらい好演ですた。

物語の展開は読めてしまって見応えをあまり感じる事ができないですが、パトリック・タム監督のセンチメンタリズムとかカメラワークの見せ方とかが印象的。この時代の黒社会映画の独特な美学が感じられるような作品ですた。

1989年/香港

監督:パトリック・タム(譚家明)

出演:ケニー・ビー(鍾鎮濤)、ジョイ・ウォン(王祖賢)、トニー・レオン梁朝偉)、チャーリー・チャン(陳惠敏)、ン・マンタ(呉孟達)/關海山(クワン・ホイサン)