HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

ブラッド・ブラザーズ/天堂口

STORY

貧村で漁師としてやりきれない日々を過ごすフン、カン、フ。この境遇から脱するために上海へと旅立った3人は、そこで夢見ていた富と、そして犯罪に満ちた下層社会を目にする。足を踏み入れたナイトクラブ「パラダイス・クラブ」では、美貌を誇る歌姫・ルルが不埒で誘惑的な生活へと彼らを魅了し、やがてクラブのオーナーで上海の犯罪界のボスをめぐって敵味方の区別なく血が流れるようになる。富への階段を上るにつれ、フンは現在と過去の間で引き裂かれ、フは危険をはらんだ生活にもがき苦しみ、そしてカンは権力への欲望以外、何も見えなくなっていく…。

REVIEW

時代背景は違えど「ワイルド・ブリッド」を思い出すような・・・そんな雰囲気。

1930年代の上海を舞台に、友情、裏切りと愛憎渦巻く内容ですた。

キャストもダニエル・ウーチャン・チェン、リウ・イェ、スー・チーと華がある顔ぶれ、1930年代の上海という時代背景も凄くマッチしていたように思う。

ただ、全体的にはしょり過ぎかな?。後半は急いで展開しているように見えた。93分間という短い時間では説明不足な気がする。もう少し長い構成でも良かったんじゃないか?と感じました。

キャスティングはとにかく素晴らしい。

出演陣の中でずば抜けた演技をしていたのが、カン役のリウ・イェ。

貧しい田舎の青年で兄弟想いで、リーダーシップの強いタイプなんだけど、それが上海に来てのし上がっていく様、それに伴い非情になっていく姿が印象的で最終的に全てを失ってしまう一番悲しい存在に描かれていたと思う。

少し勿体ない気がしたのは、主人公のダニエル・ウーかな。役柄のせいかも知れないけど、他のキャラクターに比べ際立つものが無かったなぁ。中盤はチャン・チェンに押され気味だったのが気になる所。

チャン・チェンの演じた殺し屋マークはよかったですね?。なんだか切ない殺し屋で存在感があって、ただ、悪の存在である兄、洪との確執をきちんと描ききれなかったような気もしますた。

スー・チーは色気があって、登場シーンで舞台で歌うシーンとか凄く色気があってよかったです。男を虜にするキャラでもあるけど、どこか少女らしい一面も感じた。

印象的なのは、決別してしまったフンとカンの間で苦悩する弟フ(トニー・ヤン)。この存在が物語のキーパーソンになるんだけど、兄カンが変わっていく様を見て自暴自棄になっていくんですよね。そして、望んでなかったとはいえ兄を裏切る形になってしまう場面はこの映画の盛り上がる一つの要素だったように思える。

全体的にやや説明不足な気は否めなかったなぁ。銃撃戦は結構よかったんだけど、ジョン・ウーという期待のせいか、その銃撃戦も見せ場としては弱い気もしますし・・・多少、演出が格好つけすぎな感じは否めないです。

それでも、田舎で友情を育んだ兄弟と言えるべき存在が虚しいものになっていく様はドラマティックで切なさや痛みといった感傷に浸れますた。

物語に目当たらしさは感じなかったけど、時代背景の良さ、華のある出演陣と一見の価値はある作品と思います。

2007年

製作:呉宇森ジョン・ウー

監督:陳奕利(アレクシ・タン)

出演:呉彦祖ダニエル・ウー)/張震チャン・チェン)/劉[火華](リウ・イェ)/舒淇スー・チー)/楊祐寧(トニー・ヤン)/孫紅雷(スン・ホンレイ)/李小[王路](リー・シャオルー)