HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝 アイアンモンキー/少年黄飛鴻之鐡

STORY

19世紀、金持ちから奪った金品を、圧政に苦しむ庶民に分け与える仮面の義賊『鉄猿』が街に出没していた。旅の途中だった黄麒英(ドニー・イェン)と息子の飛鴻は、代官行空に協力して、鉄猿を捕まえようとするが、鉄猿が実は優れた漢方医、楊天淳(ユー・ロングヮン)だと知り、本当の悪人行空(ヤン・サイクーン)を倒そうと協力する事になる。だが、金剛拳の達人行空に二人は敗れ、飛鴻を人質に奪われてしまう。飛鴻を救う為、二人は行空の罠に飛び込んで行くのだった。

REVIEW

「ワンチャイ」シリーズの外伝。

この物語の主人公ウォン・フェイウォンの少年時代を描いた作品。そして、物語の主人公は少年ウォン・フェイウォンというより、彼の父親である黄麒英と『鉄猿』である楊天淳の二人です。

いやはや、ツイ・ハーク監督が描く「ワンチャイ」とは、ちょっと違った雰囲気ですが、ユエン・ウーピンが描くこの外伝もすごく見ごたえがありますた。

正直ね、ワンチャイシリーズは「天地黎明」「天地大乱」「天地争覇」以外は駄作って思っていたけど、わしの中でこの作品はそのワンチャイ3部作を越えますた。

もちろん、「天地黎明」「天地大乱」「天地争覇」もかなりよかったけど、個人的にはコッチのほうが好きですねぇ。

物語も勧善懲悪の解りやすい展開でテンポがよく、さすがユエン・ウーピン監督が撮った作品らしく「見せる」アクション。

もちろん、そのアクションシーンも素晴らしいですが、フェイ・ウォン親子の家族愛がまた微笑ましかったりしますた。

ところで、この作品でフェイウォン役を演じた子が女の子だったってのは凄く驚き。子供ながらに棒術が上手くて「ほえーっ!」と感心していたが、そのうえ女の子だったとは!恐れいりやす・・・・

全体的にアクションの見せ方が上手い。フェイウォンの子には軽やかさ、父役のドニー兄さんには細やかな早さ、鉄猿のユー・ロングヮンに力強さ、助手のジーン・ウォンには優雅さと、アクションひとつ取っても全く違うタイプの見せ方で、そこがユエン・ウーピン監督の職人芸じゃないかなと思いますた。

クライマックスでドニー兄さん、ユー・ロングヮンVSヤン・サイクーンが地面に突き立てた棒の上で戦うシーンはホント、ハラハラ出来て面白かったです。

テンポの良い展開もよかったし、親子愛、そしてユー・ロングヮンとジーン・ウォンの微妙な関係とか、役人の部下を演じた袁信義もいいキャラクターで、アクションだけでなく“人”を描いている所も良かったです。

もちろん、アクションシーンは文句なしの面白さ、わしの中ではこの作品がワンチャイシリーズの中で一番好きかもしれない。

ところで、この作品とよく間違えられるのが「アイアンモンキーグレート」と言う作品。この外伝の続編と思われがちですが、物語はまったく別ものです。しかもその“グレート”のほうは、あまりオススメできません。なので、これからこの作品を鑑賞するかたはタイトルにご用心です。

1993年/香港・台湾

監督:袁和平(ユエン・ウーピン

出演:甄子丹(ドニー・イェン)/于榮光(ユー・ロングァン)/王静瑩(ジーン・ウォン)/ 曾思敏(ツァン・カーマン)/任世官(ヤン・サイクーン)