THE EYE/見鬼
STORY
幼い頃失明したマン(アンジェリカ・リー)は、20歳で待望の角膜移植手術を受け視力を回復。視力のある生活に慣れていくうちに、他の人には見えない死者の姿を見るようになってしまう。やがてその現実を受け入れようとした矢先、驚愕の事実が明らかになる。
REVIEW
双子の監督であるパン・ブラザーズが実際にあった話を元に手がけた出世作。
実際にあった話とは、角膜移植して成功した少女がわずか一週間で自殺してしまったって事らしい。その話をモチーフに物語は描かれています。
物語は怖いというより切ない展開で良くできた話だなぁって感じますた。
でも、基本的にホラー好きな人には物足りないんじゃないかな?わし自身はホラーが苦手なので、これくらいの怖さぐらいでありがたかったです。
中盤まではホラーテイストで少しずつ、ボルテージが上がっていく感じ。
主人公自身の衝撃の事実が解ってからは、どちらかというとホラー色が薄れていきサスペンスのような展開と同時に切ない雰囲気もある。そして、最後の大仕掛けでわしは完全にこの映画がホラーという事を忘れてしまいますた。
そういう意味でホラー好きな人には物足りないんじゃないかなぁと思う。
中盤までの展開は確かに緊張感があって恐かったです。
ただ、音楽や音響は過剰な演出のようにも感じる。音の静かなほうが怖さを感じるようにも思えるんだよなぁ。
あと、霊の存在を見せる時もちょっと演出過多な気がする。冒頭の病院のおばあさんや、通信簿を探す少年まではゾクっとした怖さがあった。
エレベータのおっさんも後ろ姿と近づいてくるまでは良かったんだけど、顔を見せるのはちょっと過剰な気もする。あと、食堂にいる親子の霊も窓から覗き込むまでは良かったんだけど、舌ベロ?ンは余計だったような・・・
ちょっと見せすぎな感じがして、却って恐怖感が薄れてしまいますた。
だからといって、面白くないかといえば決してそうじゃない。
確かに日本ホラー映画「リ○グ」を見ているような感覚は否めない。
でも展開としては凄く見応えがあったし、主人公マンの心情を上手く描いていて物語に入り込めますた。
マンは、目が見えるようになったけど他の人が見えない者達まで見えるようになってしまう。それがこの世には存在しない者と気づいた時の衝撃はどれほどのものかと想像したときに怖さを感じる。
それを最初はマンの視界を表すように映像がぼやけた所から見せるのが恐怖心を煽る。上手い演出だと思った。
あと、盲目の人だけの楽団から目が見えるようになって、楽団から外されそうになったときの疎外感も描かれているところがいい。ちゃんとマンという人物の状況や心境が描かれていてドラマ性も感じた。
それと、主人公マンを演じたアンジェリカ・リーの演技も凄くよかった。
メイキングを見たとき、とても笑顔の可愛い明るい雰囲気で、この映画の主人公マンを演じた人と同一人物とは思えないほどだった。だけど、彼女はこの映画の雰囲気を把握して演じていたように感じる。主人公の表情や心の変化を上手く演じていたように思う。
個人的にアンジェリカ・リーという人を凄く気に入りますた。
全体的に見やすい映画でしたけど、ホラーとしては弱い気がします。
個人的にホラー映画は想像も付かない演出やありえない展開に怖さを感じてしまう。この映画に関して言えば、そういう怖さはあまり感じなかった。
だけど、脚本も構成も良く出来ていてドラマ性があったし、切ない展開もいい。映画として悪くない作品だと思う。個人的には続編も鑑賞したいと思いますた。
2002年/香港・タイ・英・シンガポール
監督:オキサイド・パン/ダニー・パン
出演:李心潔(アンジェリカ・リー)/周俊偉(ローレンス・チョウ)/盧巧音(キャンディ・ロー)/葉偉信(ウィルソン・イップ)