HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

プリズン・オン・ファイヤー/監獄風雲

STORY

誤って人を殺したために悪名高い刑務所に収監されてしまった善良な若者イウ(レオン・カーファイ)。極悪の囚人たちの中で居場所のない彼は、気のいい牢名主チェン(チョウ・ユンファ)と友情を結ぶ。彼もまた、はずみで自分の妻を殺すという哀しい過去を抱いていたのだ。そんな二人にことあるごとに地獄の責め苦を強いる鬼の監視官。理不尽な暴力に立ち向かうイウたちと監視官との命がけの対決が迫る…。

REVIEW

ロイ兄さん(ロイ・チョン)、この作品以前に「ストーリーローズ?恋を追いかけて?」という作品で出演しているんだけど、ロイ本人が「プリズン?」をデビュー作と言っているのでこの作品が実質的なデビュー作品。

そして、ロイ兄さんの悪役街道路線を決めた作品と言っても過言では無い。

内容はカーファイ演じるイウという男の目線で描かれている。

ユンファ演じるチェン兄貴の友情と刑務所生活が展開よく描かれていて見応えあり。

カーファイ演じるイウがダメッぷりを発揮してくれるので、ユンファ演じる気の良いチェン兄貴は尻ぬぐいをするハメに。しかも、ハサミ一本で大きな喧嘩にまで発展。

っとここまでは、ロイ兄さん演じる看守長の出番も少ないですが、物語が進むにつれ出演時間が増えていくとともに、ロイ兄さんに怒りが湧いてきます。

その、ふてぶてしさ、ずる賢さにロイ兄さん迷のわしですら怒りに震えたもんだから、ファンじゃない人はもっと怒り狂うと思います。

そして、クライマックスで狂気を秘めたチェン兄貴の跳び蹴りにスッキリしますた。

それにしても、ロイ兄さん新人時代にも凄い印象残る役をやったよね。こんなアクの強い役をやってしまったら、そりゃ悪役ばっかりになるって!でも、いい人路線で売り出したら、きっと今、映画界にいないかも知れない・・・

まぁ今はいい人役も多いので一安心ですが、ファンとしてこの頃のアクの強い演技も捨てがたい気もする(笑)

脚本が良くできてるなぁと思っていたら、脚本を描いた南燕(ナム・イン)が刑務所生活を実体験したらしく、それでこの脚本が描かれたらしい。

だから、物語自体の面白さがあるんだけど、それに加え出演者の演技がよかった。

カーファイの情けないキャラも、ロイ兄さんのふてぶてしい看守役も物語を盛り上げた要素だけど、やっぱりダントツでユンファの演技力が光っていますた。

いつもは飄々として歌なんか口ずさんで明るいチェン兄貴が、イウに刑務所に入った理由を教える時のもの悲しげな表情とか、怒り狂ったクライマックスの狂気の表情とか、凄い表現力で物語に入っていけますた。

ラストでカーファイは刑期を終え、刑務所から出て行くシーンは結構ジーンくるものがありますた。当たり前のようなラストなのに感情移入できたのは、やっぱり脚本のよさと出演者の演技の賜だと思う。

1987年/香港

監督:林嶺東(リンゴ・ラム

出演:周潤發(チョウ・ユンファ)/梁家輝(レオン・カーファイ)/黄光亮(トミー・ウォン)/何家駒(ホー・カークイ)/南燕(ナム・イン)