HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

ブラッド・ブラザーズ 刺馬/刺馬

STORY

清朝時代。山で出会って意気投合した馬新貽/マー(ティ・ロン)、と張文祥/チャン(デビッド・チャン)、黄縦/ホァン(チェン・カンタイ)の兄弟は、義兄弟の契りを交わす。だが、野心家なマーは2人のもとを離れる。数年後、提督にまで昇りつめたマーはチャンとホァン呼び寄せる。再会を喜ぶ3人だったが・・・

REVIEW

最近、何故かショウブラ作品を観まくってます。今回は「刺馬」の紹介。

30年以上前の作品なので、今のCG使いまくりのアクションに慣れてしまうと、この時代のアクションの動きが緩く感じたりもしますが、シンプルで身体を張ったアクションも結構楽しめます。っていうか、使いすぎワイヤー&CGに食傷気味なのよね・・・わし。

しかも張徹監督の作品はカメラワークがいいんだよねぇ。撮り方が上手いなぁ。

内容は清朝時代にあった「馬新貽総督刺殺事件」を元に義兄弟の契りを交わした男たちの裏切りと悲運を描いた作品。

張徹監督の弟子ジョン・ウーが「ワイルド・ブリッド」の元ネタとした作品でもあります。

物語自体がテンポよく、登場人物のキャラも上手く描かれて見応えあり。

んで、やっぱりツッコミ所はアクションシーンで時々見られる坂道ゴロゴロ。もう、そのシーンが出てくる度に何回転がるんじゃ!っとつっこんでますた。

展開としてはティ・ロン演じるマーとチン・リー演じる人妻ミランが近づいてくるあたりから盛り上がってきて面白かったです。

もう、このミランの存在が3人の男の運命を狂わすと言っても過言ではない。悪気がないように見えるから却って始末に負えない感じ。魔性の女です。

その魔性の女ミランをも超えるのが、この映画の最大の魅力と言っても過言ではないマーを演じたティ・ロンでしょう。わし自身の好みとしてはデビッド・チャンことジョン・チャンなんだけど、この当時のティ・ロンは最強だったと思う。凄く男前。見た目もいいけど、雰囲気というか色気を感じるんですねぇ。

この作品でもそう。

前半は好青年な雰囲気を漂わして、一見、爽やかさん!て感じなんだけど、その内側に甘?い毒も漂わせていて、提督に出世してからはそれに輪をかけて貫禄のある大人な雰囲気を出している。マーという人物を上手く表現していて悪役なのにかなり魅力的。

でっ、ミランとマーが川でずぶ濡れになる場面があるんですけど、そのシーンが妙に色っぽい。映像的には別に色っぽいワケじゃないんだけど、雰囲気といか情緒的な色気があって妙にドキドキしますた。この恋愛の要素が女のわしとしては物語が面白く感じた要素だったかも。

ラストは何という終わり方なんじゃ!と思う。救われない・・・だけど、展開が面白く役者が皆色っぽくて見応えあった。

この時代の俳優・女優さんを見ると、ただ立っているだけで魅力があるというか、存在感がいい。今は悲しいかな、演技もいいし見た目もいいけど色気のある俳優って少ないなぁって感じてしまう。

それと作品によって好みが分かれると思いますが、話の展開が支離滅裂なものが多い香港映画の中でもショウ・ブラ作品は物語の構成が結構ちゃんとしていて見応えありです。久々に鑑賞してやっぱり面白いなぁと思いますた。

ところで、ピーター・チャン監督、リンチェイ、アンディ、金城武主演で「投名状」とタイトルでリメイクしますねぇ。リンチェイがティ・ロンでアンディがチェン・カンタイの演じた役って事なんですよね。何かイメージが湧かない・・・

でも、ピーター・チャン監督がどういった形でこの名作をリメイクするのか凄く楽しみです。

1973年/香港

監督:張徹(チャン・チェ

出演:姜大衛(デビッド・チャン/ジョン・チャン)/狄龍(ティ・ロン)/陳觀泰(チェン・カンタイ)/井莉(チン・リー)