HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

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愛と復讐の挽歌/英雄好漢

STORY

香港の暗黒街でトップの座に昇りつめたチャイ(チョウ・ユンファ)。また、クオ(アンディ・ラウ)も義兄・ユンと決別し、堅気になりマラッカへと渡る。そこで、マレー人の妻と養子と穏やかで幸せな日々を送っていた。

権力と金を手に入れ、愛する家族と幸せな時間を過ごすチャイだったが、かつて共に戦いながら、自らの手で裏切り追放したユン(アレックス・マン)の執拗かつ非情な復讐の手が伸びようとしていた・・・。

REVIEW

っということで、後編の「愛と復讐の挽歌(英雄好漢)」のほうです。

舞台は70年代から80年代へと移り変わり、チャイは敵だったチウ(コー・ジュンジョン)とも和解。家族にも恵まれ幸せな暮らしをしている。クオも堅気になりマラッカへ渡りマレー人の嫁と養子に囲まれ幸せある暮らしをしていた。

一方、ユンは黒社会で登りつめチャイへの復讐に燃えている。っといった感じで物語が始まります。

前編の「野望編」はチャイ(ユンファ)、ユン(アレックス・マン)、クオ(アンディ)3人をそれぞれバランスよく描いていましたが、今回はチャイVSユン、この二人の構図が色濃く映し出されていますた。

アンディはマラッカへ渡ったという設定なので、前編に比べ出番は少なめです。

物語としては、たぶんこの後編のほうが盛り上がりがあって見応えあり。息つく暇も無い展開。でも、なんか救いようがないのがキツかったです。。盛り上がりはいいんだけど、個人的にはちょっと切ない感じも漂った前編のほうが好きですた。

もう、とにかくアレックス・マン演じるユンが極悪非道。この後編で、チャイがユンの罠でどんどん追い詰められていくんですねぇ。

そして、仲間が一人また一人と消えていく様はホント悔しいって思ってしまう。特にユンとクオの姉チョウの最後は悲しすぎ。せめて、チャイに胸の内を告白していたら少しは救われたのに・・・

それに、家族が悲劇に遭うシーンはキツいなぁ・・・この時代の黒社会ものってホント容赦ない描き方をするよね。

映画の世界って解っているのに、怒りと悲しみが沸いてきますた。

で、やっぱりラストはお決まりの銃撃戦なんだけど、この銃撃戦が半端ねぇくらい激しいのなんの!ユンファなんて、「どっから持ってきたの?」って聞きたいくらいデカい弾の銃をぶっ放しまくり、破壊しまくり、戦場と化していますた。

それなのに、ユンファもアンディもあんなに撃たれているのに生きてる。

でもこの二人が生きていたからこそ、この救いようのない物語が最後に救われた気がする。

で、ここでもユンは酷い男なんだなぁ。手下のチョイ・ガムコンはアッサリ撃ち殺すし、アンディに殺されそうになったら父親の事を言い出して、アンディにスキを与えて反撃するんだよね。あぁ!もう卑怯すぎて思い出しただけでムカっ腹立つ。

一番可哀想だったのは、チャイでもクオでもなく、ユンの父親だった気がしてならない。血を分けた娘も息子のせいで失って、その息子を自分で手にかけるしかなくて、そしてそんな息子に殺されてしまう。あの涙を流しながらユンに銃を向けたシーンは虚しさとかやるせなさとか色々な負の感情が混じってしまう場面だった。冒頭では貧しかったけど、仲のいい親子だったから余計に悲しく感じる。

それにしても、アレックス・マンの演技は凄かったと思います。ホント上手い。

最初はしがないチンピラ風情から、大物やくざになるまでの雰囲気の変化も凄かったけど、どんどん最悪な性格になっていく過程とか見応えあったし、最後の銃撃戦に至っては、もう表情に狂気を秘めていて壊れそうになっているのがよく解る。

この人がいなかったら、この物語りの面白さが半減しただろうなぁと思うくらい。

内容は、やるせなさがちょっと残る物語ですた。でも、ど派手な銃撃戦、スピーディーで飽きない展開、よく考えれば、出演者も豪華な作品ですた。

※今回、2007年に再販されたDVDの改良版を観たので、登場人物の名前が微妙に違っていたりします。

1987年/香港

監督:黄泰來(テイラー・ウォン)

出演:周潤發(チョウ・ユンファ)/劉徳華アンディ・ラウ)/萬梓良(アレックス・マン)/劉嘉玲(カリーナ・ラウ)/王小鳳(ポーリン・ウォン)/柯俊雄(コー・ジュンジョン)/李修賢(ダニ・リー)