HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

北京オペラブルース/刀馬旦

STORY

軍閥たちが私腹を肥やす辛亥革命後の中国。

動乱の根元である長官の娘、ワン(ブリジット・リン)は表向きは軍の一員として働きながら、実は革命派のスパイとして情報を横流ししていた。

一方、女楽士のションホン(チェリー・チャン)は営業先のどさくさに紛れ貴金属を盗んだりしながら乱世を強く生き抜いていた。そして、京劇一座の座長の娘パナウ(サリー・イップ)はおっちょこちょいだが心の優しい持ち主。そんな3人がひょんな事から出会い新たな革命に向けて運命が変わっていく・・・

REVEIW

この頃のツイ・ハークってやっぱ天才だね。

スピーディーな展開、アクション、ちょっとした笑いとシリアスのバランス。そして何といっても京劇シーンは素晴らしい。

また主役の3人の女優、ブリジット・リン、サリー・イップ、チェリー・チャンの三者のキャラクターがしっかり描かれていてとても魅力的。

ブリジット・リンに関しては終始、格好がいいとしかいいようのないキャラで、さすが男装の麗人という言葉を欲しいままにしている。

サリー・イップも京劇一座に娘として生まれた為に葛藤が生まれ、だけど京劇を誰よりも愛している姿や情に厚い性格が表れて好感が持てる。

チェリー・チャンにいたっては、もうキュートなキャラクター。お金に目が無いんだけど、どこか憎めない。

その3人の友情の描き方がとてもよかった。

3人が地球儀を見ながら語り合うシーンが特に好きだったなぁ。そこに生まれも育ちも違う3人の性格が垣間見れる所もいいし、なんか女同士で楽しく過ごす所はいつの時代でも変わらないもんだっと感じてしまう。

また、ワン(ブリジット・リン)の父親に対する葛藤や愛情も伝わる。ワンは長官としての父親を裏切っているんだけど、やっぱり父親の愛情を感じてやるせなくなる気持ちもうまく表現されていたし、こういった親子関係が描かれているのも、この映画をより盛り上げている。またパナウ(サリー・イップ)と父親のやりとりも面白い。

やっぱ注目すべき所は所々で観れる京劇のシーン。サリー・イップはこの映画のために半年以上も京劇の特訓を受けたそうで、かなり動きがいい。全体的にこの京劇のシーンは目を見張るものがあって華やかですた。

そして笑えるシーンが所々あるのもいい。

京劇のスターであるチョン・プイが男の監査官に狙われるんだけど、京劇の華やかな格好をしていてもチョン・プイがゴツい所とかヘンに面白かったなぁ。

あと、特にパナウ(サリー・イップ)の逃げ込んだ部屋に父(ウー・マ)が来たときのシーンが面白かった!3人を匿っているもんだから、もう必死。普通バレるやろ?っと思いながらも、そこは香港映画らしいベタな笑いがあって凄く好きな展開ですた。

ラスト、京劇をしながら屋根に登ってのアクションはクライマックスに相応しい。京劇での布の使い方は流れるような演出で綺麗だし、屋根づたいのシーンは

ハラハラドキドキな展開。そして、最後にいつかまた会える事を信じてそれぞれの道へと分かれていく。そのラストシーンは未来を感じられる締めくくりでよかった。

息つく暇の無いスピーディーな展開。だけど、凄く内容の濃い映画ですた。

1986年/香港

監督:徐克(ツイ・ハーク

出演:林青霞(ブリジット・リン)/鐘楚紅(チェリー・チャン)/草倩文(サリー・イップ)/曾江(ケネス・ツァン)/秦沛(チョン・プイ)/鄭浩南(マーク・チェン)