HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

玻璃(ガラス)の城/玻璃之城

STORY

1996年、大晦日のロンドン。トラファルガー広場は新年を祝う人々で沸き返っている。そんな中を猛スピードで突っ込んできた車が一台、凍てついた石畳の上をスリップし轟音をたてて壁に激突した。時はまさに午前0時、車中のラファエル(レオン・ライ)とヴィヴィアン(スー・チー)は、新年の到来を告げるビッグベンの鐘の音と人々の歓声を聞きながら、息絶える。

翌日、ニューヨークでは新年最初の惨事として事故はトップニュースで報じられた。偶然ニュースを見たラファエルの妻テレサ(ポーリン・ヤン)は、香港にいるはずの夫の事故を信じられず取り乱し、代わりに息子のデイヴィッド(ダニエル・ン)が遺体を確認しにロンドンへ行くこととなった。警察の取調室で香港から来たヴィヴィアンの娘スージー(ニコラ・チェン)と出会う・・・。

REVIEW

デモのシーンのレオン・ライの髪型はどうかと思う・・・ということはさておき。

まぁデモのシーンは日本人のわしとしては複雑だけど・・・主役の2人の軌道を時代背景に重ねていく所や音楽の使い方は凄く上手い手法だと思う。

2人の愛も甘く切ない。でも何故か複雑な感情を抱いてしまうなぁと思った作品ですた。

ラファエル(レオン・ライ)とヴィヴィアン(スー・チー)が事故で他界して、それぞれの子供が二人の20年の恋愛の軌道を知るというストーリーなんですが、たぶん「あなたへの想いは変わらない」という純愛を描きたかったとは伝わるのですが、どこかで「でも純愛でも不倫は不倫でしょ」と個人的に冷めた感情を抱いてしまう。

第一ラファエルとヴィヴィアンの関係の描き方が綺麗すぎる。また、二人が20年たった設定でも見た目があまり変わらないもんだからリアリティを感じなくて感情移入しづらい。しかもそれぞれの伴侶は結局どうなるんだよ?とか余計な事も思ってしまう。だけど、この二人の恋愛が無ければ、デイヴィッド(ダニエル・ウー)とスージー(ニコラ・チェン)は出会う事無く愛は生まれなかったし、映画も成り立たない。

デイヴィッドとスージーの中国名が康橋(ケンブリッジ)というのは、ラファエルとヴィヴィアンの愛が深かった事に納得。そして劇中流れる「トライ・トゥ・リメンバー」はこの映画を盛り上げてくれる要素で素敵な演出。恋愛としては素敵だと思う。でもなぁ・・・どこかでやっぱりこのラファエルとヴィヴィアンの関係が好きになれないのだ。たぶんわしがそういう関係に理解できないって事が要因だとは思うけど・・・。

ラファエルとヴィヴィアンは20年たっても美男美女だったので、綺麗な想い出が成り立つし映画としてはOKだけど、「現実の男と女はそうもいかないって!」とツッコミたくなりますた。

主役のラファエルとヴィヴィアンよりそれぞれの子供であるデイヴィッドとスージーの関係が却って面白く描かれていたように思う。

特にスージーが女の子を紹介するとデイヴィッドに言うシーン。デイヴィッドは「あの池のほとりにいる女の子がいい」と言う。彼の事を気になり始めたスージーが複雑な顔を浮かべながら、池へ向かう。するとそこにいた女の子はいなくて、それでもデイヴィッドはその娘がいいと指を差しジェスチャーする。そこでスージーは自分の事だと気づく。冒頭お互い反発しあっていたからこそ、この演出が効果を発揮していて面白い。

主役2人は悲劇的だけど、その子供のデイヴィッドとスージーに未来を託した演出は悪くないと思う。ただ、生きているそれぞれの伴侶はどうなるんだ?とも思ってしまうケド・・・

1998/香港

監督:張婉停(メイベル・チャン

出演:黎明(レオン・ライ)/舒淇スー・チー)/呉彦祖ダニエル・ウー)/張 [火炎/木]悦(ニコラ・チャン)