HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

ワンナイト・イン・モンコック/旺角黒夜

STORY

人々の欲望が渦巻き、暴力と犯罪が怪しくうごめく喧騒と混沌の街、旺角(モンコック)。この街では2つの犯罪組織の対立が続いていた。そしてついに、一方の組織のボス、ティムの息子が殺されたことでその緊張は頂点に達する。ティムは敵対する組織のボスを抹殺するため、大陸から殺し屋を呼び寄せる。湖南省から出稼ぎに来ていた売春婦のタンタンはチンピラにからまれていたところを、偶然居合わせた青年フーに助けられる。彼こそ、ティムが呼び寄せた殺し屋だった。一方、警察の仕事に熱意を持てなくなったミウ警部は、殺し屋が雇われたとの情報を得て、抗争終結のための大がかりな掃討作戦“旺角黒夜(ワンナイト イン モンコック)”を開始する…。

REVIEW

ダニエル・ウーセシリア・チャン主演。

監督は『つきせぬ想い』『色情男女』のイー・トンシン監督。

ヤクザ同士の抗争を期に大陸から香港にやってきた殺し屋、殺し屋に出会った娼婦、事件を追う刑事の姿を描いた作品。

見終わった後、凄くゲッソリしますた。いや、イイ意味で。

冒頭から「どうなっていくんだろう・・・」と緊張しっぱなしの連続。

セフの一つ一つに重みがあり、それがこの物語の悲壮感に繋がっていた。救いようのない話だけど、それが切ない感情に変わっていった。

どこからともなく人が集まってくる旺角で思惑が交差し、何が善で何が悪か解らない。だけどフーやタンタン、ミウ刑事にもそしてフーを裏切るリウにもそれぞれの仲間や親を想う心があって、それぞれがそれぞれの目的で交差していく。"縁"という名のもとでうごめいていく世界が見事に映し出されていた。だから観ていくうちに引き込まれてしまったのかも知れない。

今回は主役のダニエル&セシもよかったけど、アレックス・フォンがダントツ。

警官としてはしてはならない事をするが、だけど過去を引きずっている為に仲間を守ってしまう。

その結果また失うものができてしまう。それが人であったり感情であったり・・・

時々この人の視点で動く展開に感情移入してしまうっていうのかな?

一瞬、この人が主役なんじゃないか?って気になった。

それもそのはず、彼は暗く重い過去を引きずって生きている。

彼の過去は「鎗王(ダブル・タップ)」とリンクして描かれている。「鎗王(ダブル・タップ)」も合わせて観ると物語にさらに深みが増す。その演出法は凄い上手いなぁと関心しますた。

冒頭のアレックス・フォンとチン・ガーロッのやりとり

「会いたくないヤツに限って再び会ってしまう」

「それは縁というものでは?」「そんな縁は願い下げだ!」

これがこれから起こる事の深いイミに繋がっていく面白さに惹かれた。

一見、香港ノワール的だが人間の内面を映し出した人間ドラマだと感じる。秀作だね、コレ。

2004年 香港

監督-脚本 :爾冬陞(イー・トンシン) 製作-方平(ヘンリー・フォン)

出演-呉彦祖(ダニエル・ウー)/張柏芝(セシリア・チャン方中信(アレクッス・フォン)/錢嘉樂(チン・ガーロッ) /李燦森(サム・リー)/王合喜(ケン・ウォン)/梁俊一(アンソン・ロン)/林雪(ラム・シュー)/方平(ヘンリー・フォン)