HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

フル・ブラッド/花旗少林 Treasure Hunt

STORY

中国系アメリカ人のチャン(周潤發)は大学の講師を務めているがその正体はCIA諜報員。ある日、上司の命令で中国国家を揺るがすほどの秘宝を奪取する任務を受け単身中国へ。中国情報局のトン・リン(秦連)と接触したチャンはアメリカとは違う中国の厳しい現状に驚く。チャンはトン・リンの勧めで潜伏しやすい少林寺へ連れて行かれ、そこである理由により少林寺に軟禁されているシウ・リン(呉倩蓮 )と出会う。シウ・リンに興味を持ったチャンは彼女に接触する。彼女はは第三者を通して物を動かせたりできる超能力者だった

REVIEW

なぜ邦題が『フル・ブラッド』なのか?まさか『フル・コンタクト』の後だから『フル』をつけちゃえ!みたいなカンジなのか?ちなみにこの作品『フル・コンタクト』のようなハードな世界ではありません。マジで日本サイドのネーミングは考えもんだ。

しかも紹介で謳われているような「ハード・ボイルド」というより、恋愛もんです、コレ。そしてあまり人気もないのよね。

簡単に言えば、アメリカ育ちのチャンが少林寺の僧やシウ・リンと関わっていくうちに友情や愛を深めていく話。

CIA諜報員とわかりやすい為に冒頭で國村隼人演じるヤクザから日本企業のオッサンを助けるシーンと、最後の敵を追いつめるところ以外派手なドンパチはありません。っと言っても、この作品好きなの。わし。ホント、ガンアクションもちょっと抑え気味で地味なんだけど、随所にいきわたる笑いや切なさがジーンときちゃうんだよ。

実際「どこがハード・ボイルド・アクションじゃい!」と思ったり、「任務はどうした?發仔!」とツッコむことでしょう。陳腐なCGにオイッとも思う。でも観ていくうちにそんな事どうでもよくなっちゃうんだよね。ユンファとシンリンが過ごしていた日々が穏やかに描かれているのがよかった。

また子役の太っちょの僧が適度にいい演出で映画にスパイスを与えてくれるんだよなぁ。そしてストーリーで流れるテレサ・テンの「月高代表的我心」にグッときてしまう。

また、『少林寺三十六房』の劉家輝が少林寺の高僧役で出演。

初めはユンファと対立関係にあるが、お互いが認め合っていくところもサラッと描かれている。 タクシー運転手のフィリップ・コクとユンファとの掛け合いが味わいを増している。そしてこのフィリップ・コクが結構、重要な役どころ。その郭振鋒と劉家輝のケンカ対決は目を見張るものがある。棒術がスゴイです。この二人の対決は必見。

ン・シンリンに至ってはもうかわいい女なんだよね。これがまた。

野球のシーンの「召し上がれ」のセリフがいいんだよねぇ。アメリカでの叔父との会話がこの場面で生かされて、フワーと幸せな気になりますた。

監督のジェフ・ラウは細かくて切ない演出上手いわ。笑えるところと見せ場の割り振りが絶妙な監督だと思う。物語の展開、内容は決して派手では無いのにかなりお気に入りの映画です、ハイ。

1994/香港

監督- 劉鎮偉(ジェフ・ラウ)

出演-周潤發(チョウ・ユンファ)/呉倩蓮 (ン・シンリン)/秦連(シン・ハン)/郭振鋒(フィリップ・コク)/劉家輝(ラウ・カーファイ)