HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

メイド・イン・ホンコン/香港製造

香港製造

STORY

主人公チャウ(サム・リー)は借金取り立ての手伝いをしながら、低所得者のすむアパートで母親と暮らしていた。

ある日、弟分のロン(ウェンバース・リー)が飛び降り自殺した少女サンの遺書を拾う。

遺書はロンからチャウの手に渡り、それを読んでからチャウは奇妙な夢を見るようになる。

借金の取り立て先へ向かったチャウはそこでペン(ネイキー・イム)という少女に恋をする。

ペンは重度の肝臓障害があり彼女を助けようとするが・・・・

REVIEW

香港の脚本家、陳果(フルーツ・チャン)の初監督作品のインディーズ・ムービー。主人公チャウ役を演じた李燦森サム・リー)のデビュー作でもあり、出演者がほとんど素人という映画です。そして『香港返還3部作』と言われる作品の第一弾。

初めてこの映画を観たとき、あぁ香港映画にまた新しい風が吹いたなぁと思った。

カンフーアクションでもなく、ノワール色もなく、かといってウォン・カーファイのようなスタイリッシュな作品でもない。

若者の青春の行き場、低所得者の背景、展開が進むにつれ物語は狂気と閉塞感が漂っていく。

だけど、この泥のような世界観にグイグイ引き込まれる。

予算が少なく役者を起用せず、ほぼ素人という事が功を奏した稀にみる傑作だと思う。

主人公チャウの不器用な生き方、ペンに対するチャウの一途な想いが凄く青春というにはあまりにも痛い。

墓場でチャウとペン、そしてロンが戯れるシーンがありますが、そこで最後にチャウが見た景色はどんな風に映ったのだろうと感じてしまう。青く澄んだ空であって欲しいと...

李燦森は初デビューながら凄くチャウという役を演じているなぁと思いました。

ストーリーは泣けるほど悲しいわけではないですが、気持ちが残る作品です。

1997年/香港

監督:陳果(フルーツ・チャン)  

制作:揚紫明(ドリス・ヤン)

出演:李燦森サム・リー)/厳栩慈(ネイキー・イム)/李棟泉(ウェンバース・リー)