HK CINEMA LABO 映画と猫。ときどき雑記帳

映画ときどき猫。音楽、パソコン、趣味

男たちの挽歌/英雄本色

英雄本色

STORY

「恒達財務有限公司」のボス、片腕的存在であるホー(ティ・ロン)は相棒のマーク(チョウ・ユンファ)とともに香港の紙幣偽造を担っていた。ホーの弟キット(レスリー・チョン)は、そんな兄の仕事を知らずホーを尊敬していた。ところが仕事で台湾に飛んだホーは取引きの最中、相手の内紛に巻き込まれて警察に捕まり、香港ではホーを憎む組織の刺客によって父が殺されてしまう。そのことでキットは兄ホーが黒社会の人間だという事を知ってしまい兄を恨むように。一方、ホー逮捕の記事を読んだマークは復讐を決意し台湾に向かうが…

REVIEW

以前、書いたレビューを手直ししてみますた。

やっぱりこの作品はわしを香港映画に興味を持たせてくれた作品なので、思い入れが深いし、これをはずしては語れないだろうということで。

もうこの作品がこの世に出て20年の月日が経っているが、やっぱり今観ても色あせない作品です。

冒頭で、偽札で火をつけてタバコを吸うマークにスッゲーカッコよさを感じたし、テーマ曲を聴くと今でも興奮します。

なんか、一貫してポリシーを感じるんだよね。この作品でチョウ・ユンファは映画界で欠かせない存在になったけど、やっぱりこの作品の主役はホーを演じたティ・ロンで、彼が見せる深い表情がこの映画の世界観を醸し出してくれている。

それが今観るとクサイし、格好もダサイけどジョン・ウーの美学を感じてしまうんだよなぁ。

やっぱり配役がいいよね。ユンファやティ・ロンもそうだけど、当時のレスリーなんてあの青臭さがヤクザを嫌う世間知らずな青年を色濃くだしているし、演じたケネス・ツァンが演じたタクシー会社の社長、キンさんのキャラもこの作品には必要不可欠だった。

そして敵役を演じたレイ・チーホンにいたっては、この作品がレビューとは思えんほど徹底した悪を演じている。上手い使い方だわ。

そして、見所はやっぱり終盤のいつ見ても興奮するガン・アクション。派手な動きと相対するカメラによるスローな演出。そこに激しさと美しさを感じてしまう。そこで未だ兄を許せないキットに対して思いをぶつけるユンファがよかった。

でもこの作品でチョウ・ユンファがクローズアップされてばかりだけど、やっぱり主役はティ・ロンで、彼じゃなきゃ、あの焦燥感や哀愁漂う深さがこの作品をここまで面白くさせなかったと思うしここまで輝く作品になれなかったと思う。

男の友情、裏切り、そして絆と再生をここまで濃く描き、影響を受けた作品は他にないんじゃないかと感じた一本。

1986年/香港

監督:呉字森(ジョン・ウー

脚本:呉字森(ジョン・ウー

出演:狄龍(ティ・ロン)/周潤發(チョウ・ユンファ)/張國榮レスリー・チャン)/朱寶意(エミリー・チュウ)/成奎安(シン・フイオン)/曾江(ケネス・ツァン)/田豊(ティエン・ファン)/李子雄(レイ・チーホン